「おばさん……」
「それに友達も一緒なんでしょう? 小太郎、ウチで友達の話なんてしてくれないの。こっそり写真を撮ってきてくれると嬉しいんだけど……」
「当人を置いて勝手に話を進めるなよ」

 勝手に進む会話にそろっと入ると、しっかり話し込んでいた凛花と母親が顔を合わせて笑った。

「アンタ、寂しかったら入ってきたらいいのに」
「さみ……違うって! 俺が古賀たちと遊園地に行く行かないの話だろ?」
「ごめんねぇ、凛花ちゃん。この子、小さい頃から素直じゃなくて」
「いえ、あ、あのそれで! どうでしょうか……溝口くん、夏休みの予定も教えてくれなくて」
「お盆も家にいるからいつでも問題ないわよ」
「勝手に人のスケジュール教えるなよ! 俺だって予定が……」
「あら、律儀に部屋のカレンダーに予定を書き込んでるの、お母さん知ってるのよ? 夏休みの予定に補習しか書き込んでなかったのは、まだ記入してなかったからかしら?」
「うっ……」
「アンタもいつまでも意地張ってどうすんの! 友達と楽しんできなさい」

 バシンッ、と喝を入れるように俺の背中を叩かれる。背中を擦りながら母さんを見ると、いつになく嬉しそうな笑みを浮かべていた。