しょぼくれる佐山を遮って青山に問うと、きょとんとした顔で言う。

「ええ、言ったわよ」
「誰のこと?」
「……本気で言ってるの?」

 俺と佐山は受験する大学が違う。だから俺たち二人のことではないはずだ。
 すると青山も不審に思ったのか、眉をひそめて凛花の方を見る。当の本人は視線をサッと視線を逸らした。

「凛花、説明して」
「えっと……実は……」

 しどろもどろに凛花が話し出す。彼女の第一志望の大学が、まさかの俺の志望校だったということに、いつかのデジャブが過ぎる。思わず頭を抱えた。事故の前と話が違う。

「お前、近くの大学を受けるって言ってたじゃん」
「さ、最初はそうだったけど、もっと頑張ってみようと思って……でも小太郎があの大学を志望してるの知らなかったの! 本当、本当だから!」

 むしろ知ってた方が怖い。近くの大学を目指しているのは噂で聞いていたけど、確かに偏差値も同じくらいだった気がする。全体的に沈んだ空気を察して牧野が言う。

「じゃ、じゃあ皆で行こうよ! 佐山くんとさっちゃんも、受験に向けてやる気と元気をわけてもらおうよ!」