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　凛花が事故に遭ったことは、またたく間に学校中に広がった。

　クラスのムードメーカーで人気者。彼女を知らない生徒や先生は誰一人いない。そんな彼女が事故に遭っても、朝の全校集会では「夏休みが近いからと気を抜いている人はいないと思いますが、充分気を付けてください」と校長先生が軽く注意する程度で終わった。

　注意喚起だけで済むだけなら、まだよかったかもしれない。

　誰が聞いたか知らないが、凛花が事故に遭った時に俺が一緒にいたのを目撃したらしく、「小太郎が凛花を突き飛ばしたのでは」と噂されるようになった。

　出どころのわからない噂を信じる人が多く、教室にいると冷たい視線が向けられ、避けられるようになった。
　元々多くの人と関わるようなタイプではなかったから苦ではないけど、クラスメイトからはおばさんに言われた時のような、八つ当たりの声が聞こえてくる。

　反論する余裕はないから、すべて聞こえないフリを続けた。
　授業が終わったらすぐ教室を出る。そして毎日、凛花のいる病院に顔を出した。おばさんと鉢合わせするたびに嫌味を言われる。そんな日々を繰り返していた。

　それが一週間続いても、凛花が目を覚ますことはなかった。