五月の昼下がり、久しぶりに小太郎の隣を歩く夢を見た。
 たわいもない話をして、好きなアイスを食べて帰る。三年生になってようやく距離を詰められた気がした。――その瞬間、彼が私を突き飛ばして車と衝突する。なんとも悲惨で、最悪な光景がそこにあった。

 黒い靄が追いかけてくる前に飛び起きて、尋常じゃない汗が寝巻に張りついて身体を冷やしていく。しんと静まった深夜二時に部屋の電気もつけず、混乱する頭で必死に考えた。この予知夢は大体三日後に起こっている。今回も三日後に起こるとしたら――。

「……っ、どうしよう」

 小太郎に伝えたとして、あと三日で事故に遭うなんて信じてもらえるわけがない。いや、それ以前にこんな不気味な夢を見たことを知られたら、怖がられるかもしれない。今の関係を壊したくない、嫌われたくない!

 どうしたらいい? どうしたら彼を助けられる?

 曲げた膝に額を当てて祈る。ぎゅう、と瞑った。

「神様……っ!」


「――驚いた。こんなところに人間がいるなんて」

 聞き覚えのない声が聞こえる。そっと顔を上げると、そこには真っ白な世界が広がっていた。ずっと部屋のベッドにいたのに、一体何が起きたのか。すると、困惑する私を不思議そうに真っ白な服装の人物――仲介人がじろじろと見ながら尋ねる。

「何か悪い夢でも見たのかい?」

 夢――そう、夢だ。

 これが全部夢なら、誰かに縋ってもいいのかな。

「……助けて」