数日後、小太郎を茶化していた男子が私に付き合ってほしいと告白してきた。丁重にお断りして教室から出ようとすると、誰かが走って曲がり角で消えたのが見えた。かろうじて見えた後ろ姿は、間違いなく小太郎だった。

 別の日には、彼がさっちゃんと並んで廊下を歩く姿に、急に胸が苦しくなった。口数が少なくて人見知りを発揮していた小太郎が随分遠くに行ってしまった気分で、素直に二人がお似合いだなって思ったのも、全部飲み込んだ。

 その日を境に、私と彼の間には大きな壁ができた。

 よじ登ることも、壊すこともできないまま気付けば一年の半分を過ごしている。ずっと前から自分の気持ちに気付いていたのに、幼なじみという関係が心地良くて、壊したくない一心で彼と距離を置くことにした。