――でもこの話を、誰に打ち明けたら信じてくれる?

 幼い頃、お母さんに保育園で流行っていたアニメの話を持ち換えたら「何か悪い病気にでもかかったの? これはあなたに関係のないものだから見なくていいのよ」とアニメから遠ざけられた。家でコマーシャルで流れた途端、チャンネルを切り替えてニュース番組になる。バラエティ番組なんてもってのほかだった。

 不要だと思ったものは近付かせない――だからお母さんには信じてもらえない。「予知夢ができる子なんて、また誰かに変な話を吹き込まれたの?」と学校に乗り込んでくるかもしれない。だから家族には何も話せなかった。

 流行っているものがわからなくて、次第に皆の話に追いつけなくなった。保育園では特に外で遊ぶことが多かった私に友達はほとんどいない。誰と仲が良いかと先生に問われた時、女の子の名前は一人も出せなかった。

 だから本当は、小太郎に話したかった。

 いつも一人でいる彼だけが唯一話せる相手だったから、全部打ち明けて助けてと吐き出してしまいたかった。でも「本当は夢を見て知ってたんだ」なんて言えない。言えるわけがない。なにより、打ち明けたところで信じてくれるかもわからない。

 小太郎に嫌われたくない。――その一心で私は黙っていることを決めた。