私の心は浄化されて、この世に思い残すことはない。
軽くなった私の体は、浮遊しながら愛する幼なじみを見下ろしてる。
「白い毛糸のマフラー、私だと思って大切にしてね……大好きだよ、春樹……」
目に涙を溜める春樹を見下ろしながら、制服姿の私は気づいた。
今日は私が死んで四十九日になるから、この世と別れの時なんだと思った。
上昇を続ける私に向かって、空から何か大きな物体が降りてきた。
目を細めて、よく見つめると……
「マメだー!!!」
私は興奮して、思わず声を張り上げてしまう。
去年の暮れに、この世を去った大型犬。
ゴールデンレトリバーの愛犬マメが、天国から迎えに来てくれた。
私とマメは空中で抱き合い、一緒に天国へ向かっていく……