二月になって、新春の豆まきが終わったぐらいの季節。


 不意に春樹が姿を見せたけど、妹の姿は近くにない。
 どうしてなのかと、彼から姿の見えない幽霊の私は考える。

 そうだ、私が死んでから今日で四十九日だ。
 学校の制服姿の春樹は、私が手編みした毛糸のマフラーを首に巻いてる。

「二月だけど寒いよね、風邪に気をつけてほしいのだけど……」

 私の声は聞こえないと分かってても、思わず体を近付け話しかけてしまう。

 春樹は墓石を見つめるだけで、手を合わせない。
 すぐ横に並んで立つ私は、様子を見つめてるけど理解かできなくて首を傾げてしまう。

 彼の視線の先には、墓石に刻まれた私の名前がある。
 どうしたんだろうと、春樹に視線を向けてると……


 その手に、生前の私が書いた告白の手紙を持っていた。