春樹の後を追いかけながら、ふと私は疑問に思ってしまう。

 いったい、誰が彼に手編みの毛糸マフラーを届けたのかな?

 編み方を教わった友人は、私が春樹にプレゼントとして手渡すことを知らない。
 そう考えると、多くの疑問が残ってしまう。


 悩みながら歩き進むうちに、いつの間にかバス停へ付いてしまった。

 朝の通勤時間帯と重なるので、サラリーマンや他校の学生たちもいる。

 乗車待ちの順番、最後尾に並んで立つ春樹。
 肌を刺すような冷たい風が吹き付けて、彼は寒そうに体を震わせる。
 一月の寒い冬空の下だけど、何も感じない幽霊の私。

 早くバスに乗ることができればいいのだけど……

 到着の時間が遅れてるみたいで、バスの姿はまだ見えない。


 その時!