私は小走りで、春樹の後を追いかける。


 彼の行動パターンと、時間帯を見て判断した。
 いつものバス停に向かってるのは間違いない。

 私は電柱やブロック塀に隠れながら、付かず離れず忍び足で春樹の後を追う。

 でも、けっしてストーカーなどではない。

 そもそも、姿が見えない幽霊の私がコソコソしても無意味。
 だけど、生きてた時の気持ちが胸にそのまま残ってる。


「春樹……」


 彼の名前を呟きながら、後を付いて歩く。
 夢中になって追いかけてるうちに、私は事故現場を離れることができた。

 体がない幽霊になっても、春樹を好きな気持ちは変わらない。
 その思いが、私を行動に移した。


 でも、これじゃあ浮遊霊だよね……