あの時は何とか言い訳してやり過ごしたけど、両足は恐怖で震えてた。
今も胸はドキドキして、心中は穏やかでない。
心細いので、首に巻いた白い毛糸のマフラーを両手で力強く握り締めてる。
「ステキな手編みのマフラーだねぇ……」
あの時と同じ顔の表情をしながら小さく呟くと、妹は自分の部屋に入ってしまった。
クリスマスを目前にして手編みのマフラーは完成したけど、不安は増えるばかり。
「何事もなく、すんでよかった……」
私は溜息を吐きながら自分の部屋に戻り、大きな紙袋を用意する。
そして、春樹への思いを綴った直筆の手紙とマフラーを一緒に入れた。
この恋心を、どうしても実らせて幸せになりたい。
そう願いながら、私は自室のクローゼットに紙袋をしまい込む。
クリスマス当日まで、誰にも見つからないようにね……