白一色で地味だけど、見た目もよく肌触りも心地いい。
たまに型くずれしてる場所もあるけど、既製品とちがって心を込めた一品物。
多少の見栄えは、春樹だって勘弁してくれるよね。
「そうだ……」
完成した毛糸のマフラーを春樹にプレゼントする前に、自分の首へ巻いてみよう。
私は部屋を出て、廊下の壁に掛けてある大きな鏡の前に立った。
編み終わったばかりの手作りマフラーを首に巻いて、自分の姿を鏡で見つめる。
ニヤニヤしながら笑顔で何度も頬摺りして、気持ちのいい感触を楽しんでいた。
そんな至福の時間を楽しんでる最中、私の背中に悪寒が走る。
ふと前を見ると、鏡越しに私の姿を見つめる妹が無言で背後に立っていた。
「愛奈、アンタいつからそこにいたのよ!」