「しかし……あれだな……どうにも落ち着かないというか……」
近くに生えていた大きな植物の葉っぱを腰に巻き付けたものの……僕の無駄に大きなアレが、動く度に葉っぱの隙間から見え隠れしているというか、股間がスースーするもんだから、落ち着かないことこの上ない。
……とはいえ
ここがどこなのかもわからないし、僕の体に何が起きたのかもさっぱりわからないわけで……
「……う~ん……これから僕はどうしたらいいんだろう」
腕組みをし、考えを巡らせていく。
普通なら、この森を抜けて人がいる場所へ向かうのが得策だと思うんだけど、こんな恥ずかしい格好で出ていくのも気が引けるし……もし仮にここが、僕が住んでいた日本とは違う異世界だったりしたら、そもそも言葉が通じるのか、っていう問題も出てくるわけだし……考えれば考えるほど、悩み事が次々に湧き出してくるというか……これって、会社員時代からの悪い癖なんだよな。
先に、ネガティブな事を考えすぎてすぐに行動に移せない。
そのせいで、せっかくまとまりかけた契約を駄目にしちゃったり、後からやってきた人たちにかっさらわれてしまったり、なんて事が何度となく繰り返されてきたわけで……その結果が、今日のリストラ勧告だったわけだし……
「……うん、そうだ。もし、仮に僕が異世界に転生……今の場合、転移? と言った方がいいのかな? とにかく、もう一度人生をやり直す事が出来るのなら、今度はもっと前向きに……」
「おのれ無礼な!」
「え?」
そんな事を考えていた僕の耳に、いきなり女性の声が聞こえてきた。
なんだ?
僕は、股間を押さえながらその声の方へ向かって駆け寄っていった。
低木の向こう。
そこに、その声の主がいた。
その女性は、周囲を男達に取り囲まれていた。
「まぁまぁ姫騎士様、そういきり立ちなさんな」
騎士らしい鎧を身につけている男達。
その中の1人が、その女性に向かって剣を向けている。
他の騎士達も、その周囲を取り囲みながら剣を構えている。
多勢に無勢。
そんな状況にもかかわらず、鎧に身を包んでいる小柄な女性は気丈な表情を崩していない。
「おほ。いい表情だね」
「これから楽しませてやるからよ」
騎士達は、下品な言葉を口にしながらその女性との距離をつめていく。
「貴様ら、恥を知るのじゃ。雇い主であるこのシャルロッタに対するこの所業……ただでは済まさぬのじゃ」
気丈に声をあげるその姫騎士……
……え?
……シャルロッタって言った、今?
僕は、改めてその女性へ視線を向けた。
金髪だし……
小柄なロリだし……
結構巨乳だし……
何より、のじゃっ娘だし……
……うん……シャルロッタによく似ている。
僕がはまっていたスマホゲームの推しキャラであるシャルロッタに、本当にそっくりだ。
シャルロッタがもし現実に存在していたら間違いなくあんな感じだろう……
そんなシャルロッタの姿に思わず見惚れてしまった僕なんだけど……いけない、いけない、こんな事をしている場合じゃない。
まずは改めて状況を整理しよう。
僕は、車にひかれてだね……そして素っ裸でこの森の中で目が覚めて……そこで……
キィン
そんな事を考えている僕の耳に、鋭い金属音が聞こえてきた。
同時に、身を潜めている僕の横に、宙を舞ってきた剣が突き刺さった。
思わず悲鳴をあげそうになるのを、懸命にこらえた僕。
改めて視線をシャルロッタの方へ向けると……そのシャルロッタの手の剣が、騎士の剣で弾き飛ばされたところらしい。
「さぁ、姫様。これで丸腰だな」
「じゃあ、俺たちと楽しもうぜ」
騎士達が下品な笑い声をあげながらシャルロッタへ手を伸ばしている。
シャルロッタはと言うと……観念したのか、口を真一文字に引き絞ったままきつく目を閉じている。
……シャルロッタ……
どうする?
どうする?
どうする?
頭の中に、同じ言葉が繰り返されていく。
逃げ出したくなる。
逃げちゃ駄目……
あそこにいるのは、僕が大好きだったシャルロッタにそっくりな、女の子……
そんな女の子を……
「うわあああああああああああああああああああああああああああああ」
次の瞬間。
僕は駆け出していた。
そうだ。
僕はもっと前向きに生きて行くって決めたんだ。
さっきだって、横断歩道で女の子を救えたじゃないか。
もう……もう、こうなったらやけくそだ!
脇に刺さっていたシャルロッタの剣を手に持ち、騎士達に向かって突進していく。
「な、なんだぁ!?」
いきなり現れた僕を前にして、騎士達は一様に目を丸くしていた。
そんな騎士の一人に、僕はとにかく体当たりをしていった。
剣を手にしてはいるけど……産まれてから今まで一度も訓練をした事がない僕に剣が使えるわけがない。
目をきつく閉じ、がむしゃらにぶち当たっていった。
体格は以前のままなので、結構重量級な僕だし……せめてこの一撃でひるんでくれたなら……
「どわああああああああああああぁぁぁぁぁ……」
そんな僕の耳に、遠ざかっていく騎士の声が聞こえてきた。
きつく閉じていた目を開くと……僕が体当たりをかました騎士が、空中高く飛んでいく姿が見えた。
なんだろうこれ……アニメか何かで見たことがる気がするけど……うわぁ、綺麗に吹っ飛んだなぁ……
僕が、ぽかーんとしながら、騎士が飛んでいった方向を眺めていると、
「な、なんだ貴様?」
「どっからわいてきやがった!?」
僕より先に我に返った騎士達が、全員僕に向かって剣を構えていた。
1対5
勝てるわけがない。
思わず万歳して、完全降伏仕掛けた僕。
そんな僕の視線の先に、シャルロッタの姿があった。
シャルロッタは、僕をジッと見つめている。
その瞳が、助けを求めている……気が、した……
「う、うわあああああああああああああああああああああああああああああ」
僕は、むちゃくちゃに剣を振り回しながら突進していった。
騎士達が何か声をあげながら、僕に剣を突き立てて来たのがわかる。
その直撃をくらいながらも、僕は止まらなかった。
「な、なんだこいつ!?」
「け、剣が刺さらない、だと!?」
「なんか、おそろしく硬い!?」
騎士達の、びっくりしたような声が聞こえてくるけど……それを聞いている余裕なんてない。
シャルロッタと名乗った女の子の元まで一気に駆け寄った僕は、彼女をお姫様抱っこの要領で抱きあげるとそのまま森の奥に向かって駆けていった。
シャルロッタはというと……
最初は呆気にとられた表情をしていたんだけど……しばらく僕の顔を見つめた後に、僕の首筋に抱きついてきた。
同時に……僕の鼻腔いっぱいに芳醇な香りが充満した。
何、これ?
なんなの、このいい匂い!?
これが、シャルロッタの匂いなのか!?
僕の頭の中は完全にパニックに陥っていった。
同時に、体中からアドレナリンが吹き出しているのを感じていた。
いける。
これなら、どこまでも駆けていける!
「シャルロッタ! しっかり捕まってるんだよ!」
僕の言葉に、素直に頷くシャルロッタ。
僕は、そんなシャルロッタを抱きかかえたまま駆け続けていった。
後方を確認する余裕なんてまったくない。
とにかく、僕は必死にかけ続けていった。
近くに生えていた大きな植物の葉っぱを腰に巻き付けたものの……僕の無駄に大きなアレが、動く度に葉っぱの隙間から見え隠れしているというか、股間がスースーするもんだから、落ち着かないことこの上ない。
……とはいえ
ここがどこなのかもわからないし、僕の体に何が起きたのかもさっぱりわからないわけで……
「……う~ん……これから僕はどうしたらいいんだろう」
腕組みをし、考えを巡らせていく。
普通なら、この森を抜けて人がいる場所へ向かうのが得策だと思うんだけど、こんな恥ずかしい格好で出ていくのも気が引けるし……もし仮にここが、僕が住んでいた日本とは違う異世界だったりしたら、そもそも言葉が通じるのか、っていう問題も出てくるわけだし……考えれば考えるほど、悩み事が次々に湧き出してくるというか……これって、会社員時代からの悪い癖なんだよな。
先に、ネガティブな事を考えすぎてすぐに行動に移せない。
そのせいで、せっかくまとまりかけた契約を駄目にしちゃったり、後からやってきた人たちにかっさらわれてしまったり、なんて事が何度となく繰り返されてきたわけで……その結果が、今日のリストラ勧告だったわけだし……
「……うん、そうだ。もし、仮に僕が異世界に転生……今の場合、転移? と言った方がいいのかな? とにかく、もう一度人生をやり直す事が出来るのなら、今度はもっと前向きに……」
「おのれ無礼な!」
「え?」
そんな事を考えていた僕の耳に、いきなり女性の声が聞こえてきた。
なんだ?
僕は、股間を押さえながらその声の方へ向かって駆け寄っていった。
低木の向こう。
そこに、その声の主がいた。
その女性は、周囲を男達に取り囲まれていた。
「まぁまぁ姫騎士様、そういきり立ちなさんな」
騎士らしい鎧を身につけている男達。
その中の1人が、その女性に向かって剣を向けている。
他の騎士達も、その周囲を取り囲みながら剣を構えている。
多勢に無勢。
そんな状況にもかかわらず、鎧に身を包んでいる小柄な女性は気丈な表情を崩していない。
「おほ。いい表情だね」
「これから楽しませてやるからよ」
騎士達は、下品な言葉を口にしながらその女性との距離をつめていく。
「貴様ら、恥を知るのじゃ。雇い主であるこのシャルロッタに対するこの所業……ただでは済まさぬのじゃ」
気丈に声をあげるその姫騎士……
……え?
……シャルロッタって言った、今?
僕は、改めてその女性へ視線を向けた。
金髪だし……
小柄なロリだし……
結構巨乳だし……
何より、のじゃっ娘だし……
……うん……シャルロッタによく似ている。
僕がはまっていたスマホゲームの推しキャラであるシャルロッタに、本当にそっくりだ。
シャルロッタがもし現実に存在していたら間違いなくあんな感じだろう……
そんなシャルロッタの姿に思わず見惚れてしまった僕なんだけど……いけない、いけない、こんな事をしている場合じゃない。
まずは改めて状況を整理しよう。
僕は、車にひかれてだね……そして素っ裸でこの森の中で目が覚めて……そこで……
キィン
そんな事を考えている僕の耳に、鋭い金属音が聞こえてきた。
同時に、身を潜めている僕の横に、宙を舞ってきた剣が突き刺さった。
思わず悲鳴をあげそうになるのを、懸命にこらえた僕。
改めて視線をシャルロッタの方へ向けると……そのシャルロッタの手の剣が、騎士の剣で弾き飛ばされたところらしい。
「さぁ、姫様。これで丸腰だな」
「じゃあ、俺たちと楽しもうぜ」
騎士達が下品な笑い声をあげながらシャルロッタへ手を伸ばしている。
シャルロッタはと言うと……観念したのか、口を真一文字に引き絞ったままきつく目を閉じている。
……シャルロッタ……
どうする?
どうする?
どうする?
頭の中に、同じ言葉が繰り返されていく。
逃げ出したくなる。
逃げちゃ駄目……
あそこにいるのは、僕が大好きだったシャルロッタにそっくりな、女の子……
そんな女の子を……
「うわあああああああああああああああああああああああああああああ」
次の瞬間。
僕は駆け出していた。
そうだ。
僕はもっと前向きに生きて行くって決めたんだ。
さっきだって、横断歩道で女の子を救えたじゃないか。
もう……もう、こうなったらやけくそだ!
脇に刺さっていたシャルロッタの剣を手に持ち、騎士達に向かって突進していく。
「な、なんだぁ!?」
いきなり現れた僕を前にして、騎士達は一様に目を丸くしていた。
そんな騎士の一人に、僕はとにかく体当たりをしていった。
剣を手にしてはいるけど……産まれてから今まで一度も訓練をした事がない僕に剣が使えるわけがない。
目をきつく閉じ、がむしゃらにぶち当たっていった。
体格は以前のままなので、結構重量級な僕だし……せめてこの一撃でひるんでくれたなら……
「どわああああああああああああぁぁぁぁぁ……」
そんな僕の耳に、遠ざかっていく騎士の声が聞こえてきた。
きつく閉じていた目を開くと……僕が体当たりをかました騎士が、空中高く飛んでいく姿が見えた。
なんだろうこれ……アニメか何かで見たことがる気がするけど……うわぁ、綺麗に吹っ飛んだなぁ……
僕が、ぽかーんとしながら、騎士が飛んでいった方向を眺めていると、
「な、なんだ貴様?」
「どっからわいてきやがった!?」
僕より先に我に返った騎士達が、全員僕に向かって剣を構えていた。
1対5
勝てるわけがない。
思わず万歳して、完全降伏仕掛けた僕。
そんな僕の視線の先に、シャルロッタの姿があった。
シャルロッタは、僕をジッと見つめている。
その瞳が、助けを求めている……気が、した……
「う、うわあああああああああああああああああああああああああああああ」
僕は、むちゃくちゃに剣を振り回しながら突進していった。
騎士達が何か声をあげながら、僕に剣を突き立てて来たのがわかる。
その直撃をくらいながらも、僕は止まらなかった。
「な、なんだこいつ!?」
「け、剣が刺さらない、だと!?」
「なんか、おそろしく硬い!?」
騎士達の、びっくりしたような声が聞こえてくるけど……それを聞いている余裕なんてない。
シャルロッタと名乗った女の子の元まで一気に駆け寄った僕は、彼女をお姫様抱っこの要領で抱きあげるとそのまま森の奥に向かって駆けていった。
シャルロッタはというと……
最初は呆気にとられた表情をしていたんだけど……しばらく僕の顔を見つめた後に、僕の首筋に抱きついてきた。
同時に……僕の鼻腔いっぱいに芳醇な香りが充満した。
何、これ?
なんなの、このいい匂い!?
これが、シャルロッタの匂いなのか!?
僕の頭の中は完全にパニックに陥っていった。
同時に、体中からアドレナリンが吹き出しているのを感じていた。
いける。
これなら、どこまでも駆けていける!
「シャルロッタ! しっかり捕まってるんだよ!」
僕の言葉に、素直に頷くシャルロッタ。
僕は、そんなシャルロッタを抱きかかえたまま駆け続けていった。
後方を確認する余裕なんてまったくない。
とにかく、僕は必死にかけ続けていった。