「この国は電力不足なんですよ。石油がまったく採れないもんで、それに国土も狭く山岳らしい山岳もないんで、水力も乏しく、原子力発電に頼る技術も金もないんで、もっぱら輸入の化石燃料に頼っているんです。最近の投機筋の思惑買いの値上がりで、貿易収支の赤字がふくらみ、為替管理が厳しくなっています」
と解説する。中井が、
「ディーゼル機関の熱効率の悪いのを、電気モーターに変えて、石油輸入を節約するというのが、今回のプロジェクトの謳い文句のひとつでもあるんだけどね。巨額の電化投資で、かえって金銭的には節約にならないような気もしないではないが・・・その辺は財務分析次第だろうけど・・・」
と丸山の終わり仕度を待ちながら補足説明する。同じようなことは、すでに東京で砂田から土岐は聞いていた。
作業所の外に出ると少し眼がくらむ。呼びもしないのにタクシーが3台たむろしていた。土岐たちが歩き始めると巨木の下に細い足をむき出しにしてしゃがみこんでタバコを吸っていた三人のタクシー運転手が上目使いに擦り寄ってきた。朝と同じように、土岐と王谷と丸山で一台、松山、浜田、畠山、川野の電化グループで一台、残りの一台は中井、吉川、山田、高橋が相乗りした。
宿舎のホテルに着くと、丸山が3台のタクシーの領収書を集め終わるまで、土岐はエントランスロビーで待っていた。丸山の黒い財布は領収書で溢れていた。
「大変ですね。あなたがプロジェクト・マネージャーみたいですね」
と言う土岐の言葉に、丸山は警戒するような目つきであたりを見回した。
「王谷さんはもう行かれましたか?」
と王谷のことを気にしているらしい。
「その言葉は禁句にしてもらえますか?土岐さんに他意はないとは思うんですが、ぼくがそうした態度をとっていると王谷さんに思われたくないんで・・・一応、ぼくの上司にあたるんで・・・」
「すいません」
と謝りながら、女のように随分と気を遣う男だと思ったが、お世話になっているので、とりあえず、土岐はそう言った。
スケルトンのエレベーターの中で二人きりになると、丸山は謝るまでもないと言いたげに、語り始めた。
と解説する。中井が、
「ディーゼル機関の熱効率の悪いのを、電気モーターに変えて、石油輸入を節約するというのが、今回のプロジェクトの謳い文句のひとつでもあるんだけどね。巨額の電化投資で、かえって金銭的には節約にならないような気もしないではないが・・・その辺は財務分析次第だろうけど・・・」
と丸山の終わり仕度を待ちながら補足説明する。同じようなことは、すでに東京で砂田から土岐は聞いていた。
作業所の外に出ると少し眼がくらむ。呼びもしないのにタクシーが3台たむろしていた。土岐たちが歩き始めると巨木の下に細い足をむき出しにしてしゃがみこんでタバコを吸っていた三人のタクシー運転手が上目使いに擦り寄ってきた。朝と同じように、土岐と王谷と丸山で一台、松山、浜田、畠山、川野の電化グループで一台、残りの一台は中井、吉川、山田、高橋が相乗りした。
宿舎のホテルに着くと、丸山が3台のタクシーの領収書を集め終わるまで、土岐はエントランスロビーで待っていた。丸山の黒い財布は領収書で溢れていた。
「大変ですね。あなたがプロジェクト・マネージャーみたいですね」
と言う土岐の言葉に、丸山は警戒するような目つきであたりを見回した。
「王谷さんはもう行かれましたか?」
と王谷のことを気にしているらしい。
「その言葉は禁句にしてもらえますか?土岐さんに他意はないとは思うんですが、ぼくがそうした態度をとっていると王谷さんに思われたくないんで・・・一応、ぼくの上司にあたるんで・・・」
「すいません」
と謝りながら、女のように随分と気を遣う男だと思ったが、お世話になっているので、とりあえず、土岐はそう言った。
スケルトンのエレベーターの中で二人きりになると、丸山は謝るまでもないと言いたげに、語り始めた。


