「ぼくら、三人はこのテーブルです。仲良くやっていきましょう」
と言う。そらまめのような形の顔で愛嬌をふりまく丸山に円転滑脱という4文字熟語が土岐の頭に浮かんだ。
「それから、土岐さんの国鉄側のカウンターパートの財務副部長を紹介しておきましょう。さっきの国鉄省の建物の二階にいます」
丸山に導かれるまま、作業所の外に出た。先刻、作業所を薄暗く感じたのは、外があまりにも明るいせいだと分かった。一瞬、あまりの眩しさに軽いめまいを感じた。強い陽光に物のいろどりが脱色しかけているように見えた。
陋屋のような作業所から国鉄省の建物まで三十メートルもなかった。スコールに襲われても、走り抜ければ何とかなりそうな距離だった。
廊下に照明がないせいで、国鉄省の建物の中も薄暗く感じた。コンクリートの廊下は狭く、おまけに通路一杯に、赤い紐でくくった書類の山が連なっていた。二階に続く階段も狭く、降りてきた国鉄省の役人とすれ違うとき、肩が触れ合い、強烈な体臭が鼻先をかすめた。丸山が、その男にほほ笑みながら、
「ハーイ」
と声を掛けた。
財務副部長の部屋は、狭隘な階段を上がったすぐ左側にあった。出入り口に扉がなく、書類は部屋の中にも溢れていた。細長い部屋の奥から床面に玄関前の巨木の枝葉越しに鹿の子まだらの灼熱の陽光が差し込んでいた。外に開かれた窓から吹き込む風もなく、エアコンのない部屋は息苦しいほどの暑さだった。
丸山は部屋の一番奥の壁際に、陽光を避けるようにして座っている男の前に進み出た。
「グッモーニン」
と声を掛け、土岐をその男に紹介した。二人の話していることは大体分かったが、土岐は、
「ハウ、ドゥユゥドゥ」
と言いながら、握手を求めただけだった。
と言う。そらまめのような形の顔で愛嬌をふりまく丸山に円転滑脱という4文字熟語が土岐の頭に浮かんだ。
「それから、土岐さんの国鉄側のカウンターパートの財務副部長を紹介しておきましょう。さっきの国鉄省の建物の二階にいます」
丸山に導かれるまま、作業所の外に出た。先刻、作業所を薄暗く感じたのは、外があまりにも明るいせいだと分かった。一瞬、あまりの眩しさに軽いめまいを感じた。強い陽光に物のいろどりが脱色しかけているように見えた。
陋屋のような作業所から国鉄省の建物まで三十メートルもなかった。スコールに襲われても、走り抜ければ何とかなりそうな距離だった。
廊下に照明がないせいで、国鉄省の建物の中も薄暗く感じた。コンクリートの廊下は狭く、おまけに通路一杯に、赤い紐でくくった書類の山が連なっていた。二階に続く階段も狭く、降りてきた国鉄省の役人とすれ違うとき、肩が触れ合い、強烈な体臭が鼻先をかすめた。丸山が、その男にほほ笑みながら、
「ハーイ」
と声を掛けた。
財務副部長の部屋は、狭隘な階段を上がったすぐ左側にあった。出入り口に扉がなく、書類は部屋の中にも溢れていた。細長い部屋の奥から床面に玄関前の巨木の枝葉越しに鹿の子まだらの灼熱の陽光が差し込んでいた。外に開かれた窓から吹き込む風もなく、エアコンのない部屋は息苦しいほどの暑さだった。
丸山は部屋の一番奥の壁際に、陽光を避けるようにして座っている男の前に進み出た。
「グッモーニン」
と声を掛け、土岐をその男に紹介した。二人の話していることは大体分かったが、土岐は、
「ハウ、ドゥユゥドゥ」
と言いながら、握手を求めただけだった。


