「水曜日中には何とか、電気関係の見積もりを出しますんで・・・」
「よろしくおねがいします」
と土岐は頭頂部が見えるようにゆっくりと頭を下げた。
三つ目のテーブルに張り付いている三人はいずれも、定年かあるいは定年間近に見えた。みな肩が落ち、背中がすこし丸まっていた。股上の長いズボンをはいているという共通点もあった。丸山が最初に紹介したのは、ロイド眼鏡の小柄な老人だった。黒い眼鏡の太い縁と、透き通るように細い白髪が対蹠的だった。
「こちら、副プロジェクト・マネージャーの吉川さん」
「吉川です。あたしゃ、副マネージャーと言われるよりは、ステーション・エンジニアと言われたい」
と言いながら顎の潰れたその小柄な老人は、相好を崩しながら無骨な両手で握手を求めてきた。その手に、土岐は名刺を握らせた。
「まあ、駅舎の専門家なんですけどね。あの新幹線を造ったメンバーの一人なんですよ」
と丸山が頭を掻きながら笑う。
「それから、こちらがオペレーション・エンジニアの山田さん。そして、最後が、トラック・エンジニアの高橋さん。・・・以上です。これで全員です」
山田はフケだらけの頭を少し下げた。良く見るとワイシャツの肩の上に綺羅のようなフケが散布されていた。高橋は子供のように小さな頭と童顔をくしゃくしゃにして土岐に微笑みかけた。入れ歯のようで、挨拶の言葉がうまく聞き取れない。三人の老人はいずれも160センチ前後の体躯だった。多少腹は出ているが、肩幅も狭く、貧相に見えた。
丸山が全員の紹介を終えると、吉川は王谷がひとりで陣取っている一番奥のテーブルに移動した。何か相談ごとがあるようだった。
全員に名刺を手渡したが、中井以外は名刺交換をしなかった。名刺がないのか、ホテルにおいてきたのか、誰も釈明しないので土岐には分からない。
作業所の奥に、別の部屋があるようで、ドアノブの取れかかった扉があった。かすかにアンモニアの匂いがしたので、何の部屋かは想像がついた。
「この奥がトイレです。あまり清潔でないので、極力ホテルで用を足した方がいいと思います。のぞいてみますか?」
と丸山が鼻の頭に小皺を寄せて言う。
「いえ、いまはいいです」
と答えて、土岐は出入り口に一番近い中井のいるテーブルに戻って、文房具とノートパソコンをショルダーバッグから取り出した。すると、丸山が擦り寄ってきて、
「よろしくおねがいします」
と土岐は頭頂部が見えるようにゆっくりと頭を下げた。
三つ目のテーブルに張り付いている三人はいずれも、定年かあるいは定年間近に見えた。みな肩が落ち、背中がすこし丸まっていた。股上の長いズボンをはいているという共通点もあった。丸山が最初に紹介したのは、ロイド眼鏡の小柄な老人だった。黒い眼鏡の太い縁と、透き通るように細い白髪が対蹠的だった。
「こちら、副プロジェクト・マネージャーの吉川さん」
「吉川です。あたしゃ、副マネージャーと言われるよりは、ステーション・エンジニアと言われたい」
と言いながら顎の潰れたその小柄な老人は、相好を崩しながら無骨な両手で握手を求めてきた。その手に、土岐は名刺を握らせた。
「まあ、駅舎の専門家なんですけどね。あの新幹線を造ったメンバーの一人なんですよ」
と丸山が頭を掻きながら笑う。
「それから、こちらがオペレーション・エンジニアの山田さん。そして、最後が、トラック・エンジニアの高橋さん。・・・以上です。これで全員です」
山田はフケだらけの頭を少し下げた。良く見るとワイシャツの肩の上に綺羅のようなフケが散布されていた。高橋は子供のように小さな頭と童顔をくしゃくしゃにして土岐に微笑みかけた。入れ歯のようで、挨拶の言葉がうまく聞き取れない。三人の老人はいずれも160センチ前後の体躯だった。多少腹は出ているが、肩幅も狭く、貧相に見えた。
丸山が全員の紹介を終えると、吉川は王谷がひとりで陣取っている一番奥のテーブルに移動した。何か相談ごとがあるようだった。
全員に名刺を手渡したが、中井以外は名刺交換をしなかった。名刺がないのか、ホテルにおいてきたのか、誰も釈明しないので土岐には分からない。
作業所の奥に、別の部屋があるようで、ドアノブの取れかかった扉があった。かすかにアンモニアの匂いがしたので、何の部屋かは想像がついた。
「この奥がトイレです。あまり清潔でないので、極力ホテルで用を足した方がいいと思います。のぞいてみますか?」
と丸山が鼻の頭に小皺を寄せて言う。
「いえ、いまはいいです」
と答えて、土岐は出入り口に一番近い中井のいるテーブルに戻って、文房具とノートパソコンをショルダーバッグから取り出した。すると、丸山が擦り寄ってきて、


