シャワールームから出る。女はマッサージ台の上に洗いざらしの毛羽立ったバスタオルを二枚敷いた。黄ばんで裾が擦り切れている。繊維がほつれている。
「うつ伏せに寝て」
と指図する。
マッサージ台から顎をだす。うつ伏せになる。両腕と爪先は台の外に出た。
背中に生温いオイルが撒かれた。女はそれを首筋に伸ばす。腰に押し広げる。両脇をさする。両手のひらは首筋から両肩へ、両肩から背中へ、背中から両脇へ、両脇から腰へ、撫でつけるように移動して行く。
時々、くすぐったさを感じた。背筋にわだかまっている筋肉の張りの上を、揉みほぐすことなく、手のひらが上から下へ、下から上へ、力なく儀礼的に通過して行く。オイルが背中全面にすり込まれる。親指の腹が背筋の両脇を緩く圧す。ゆっくりと上と下へローリングする。血流が背中いっぱいに波打ってくる。
意識の遠くでいびきが響いた。一瞬、眠ったようだ。マッサージは腰から下に移っていた。大腿筋の凝りが解きほぐされた。皮膚を撫でるような力ない指圧が足首まで下りて行った。
女が、
「仰むけになって」
と土岐の右肩を軽く突っついた。
寝返りを打とうとする。マッサージ台から落ちそうになった。右から左へ小刻みに寝返りを打つ。落下しないように少しずつ体をずらした。仰むけになる。バスタオルの皺が背中を指圧した。所在のない両腕を腹の上で組む。組んだ指を無理やり解かれた。両腕は台の外に垂らす。
女の冷ややかで硬い下腹部が左肩に触れた。胸の中央にオイルが垂れ流された。女の上半身が間近にあった。赤い電球が女の頭の後ろに隠れていた。表情はよく見えない。胸のオイルのひと溜まりが鎖骨から両肩へ押し広げられる。女のTシャツの中の乳房が硬く重そうに揺れた。右肩をさすろうと屈み込む。口許から吐息が漏れる。鼻先をかすめた。煙草とチキンの丸焼きに使う香辛料の混ざった強烈な臭い。硬く大きめの乳首が胸に流れたオイルの跡をなぞる。マッサージは下腹部に移行する。手のひらにオイルをつけ直す。陰毛を避ける。鼠蹊部から膝頭へ一気に下る。脛に二三度オイルを擦り込んで終わった。裸のまま放置された。
「終わり」
と女は気だるそうに告げる。崩折れるようにソファーに腰掛けた。煙草を咥える。マッチですばやく火をつけた。
「うつ伏せに寝て」
と指図する。
マッサージ台から顎をだす。うつ伏せになる。両腕と爪先は台の外に出た。
背中に生温いオイルが撒かれた。女はそれを首筋に伸ばす。腰に押し広げる。両脇をさする。両手のひらは首筋から両肩へ、両肩から背中へ、背中から両脇へ、両脇から腰へ、撫でつけるように移動して行く。
時々、くすぐったさを感じた。背筋にわだかまっている筋肉の張りの上を、揉みほぐすことなく、手のひらが上から下へ、下から上へ、力なく儀礼的に通過して行く。オイルが背中全面にすり込まれる。親指の腹が背筋の両脇を緩く圧す。ゆっくりと上と下へローリングする。血流が背中いっぱいに波打ってくる。
意識の遠くでいびきが響いた。一瞬、眠ったようだ。マッサージは腰から下に移っていた。大腿筋の凝りが解きほぐされた。皮膚を撫でるような力ない指圧が足首まで下りて行った。
女が、
「仰むけになって」
と土岐の右肩を軽く突っついた。
寝返りを打とうとする。マッサージ台から落ちそうになった。右から左へ小刻みに寝返りを打つ。落下しないように少しずつ体をずらした。仰むけになる。バスタオルの皺が背中を指圧した。所在のない両腕を腹の上で組む。組んだ指を無理やり解かれた。両腕は台の外に垂らす。
女の冷ややかで硬い下腹部が左肩に触れた。胸の中央にオイルが垂れ流された。女の上半身が間近にあった。赤い電球が女の頭の後ろに隠れていた。表情はよく見えない。胸のオイルのひと溜まりが鎖骨から両肩へ押し広げられる。女のTシャツの中の乳房が硬く重そうに揺れた。右肩をさすろうと屈み込む。口許から吐息が漏れる。鼻先をかすめた。煙草とチキンの丸焼きに使う香辛料の混ざった強烈な臭い。硬く大きめの乳首が胸に流れたオイルの跡をなぞる。マッサージは下腹部に移行する。手のひらにオイルをつけ直す。陰毛を避ける。鼠蹊部から膝頭へ一気に下る。脛に二三度オイルを擦り込んで終わった。裸のまま放置された。
「終わり」
と女は気だるそうに告げる。崩折れるようにソファーに腰掛けた。煙草を咥える。マッチですばやく火をつけた。


