「彼とヘンサチがどれほど親密な関係にあるのか知らないけど、お互い公務員とみなし公務員だし、家族ぐるみの付き合いをしているし、出身高校が同じ公立だし、ヘンサチにしてみれば彼の方が頼みやすいはずだ。あるいは、反政府ゲリラに誘拐されたり、殺害される危険があるから、彼を避けたのかも知れない。おそらく、死ぬのは偏差値の低い民間人ならいいというのがヘンサチの料簡だ」
酩酊してきた土岐の頭蓋の中を様々な雑念がランダムウォークし始めた。
(やっぱり、I kill youのIはヘンサチだったのか?)
などという妄想が土岐の眼窩の裏あたりを徘徊した。
「これで空港近代プロジェクトの独占契約はまちがいないじゃないですかァ。交換公文にもられることはもうきまってるんだしィ。濡れ手にアワですねェ。ヒッヒッヒッヒッヒッ」
とジャナイデスカは地酒を土岐のワイングラスいっぱいに注ぎこんだ。溢れる寸前でアラックの小瓶をよろよろと引っ込めた。
瓶の口から濃い紫の滴が垂れた。
「まあ、商社はうちの事務所だけだから。この国の経済規模ならば、商社は一社が適正規模というところでしょう」
と長谷川はジャナイデスカが暗に言おうとしている大使館との癒着を誤魔化そうとしている。
ジャナイデスカは上の空で聞き流している。通じなかった。
「そうかも知れないですがァ邦人たったふたりでェ総額数十億ドルの巨大プロジェクトじゃないですかァ」
とジャナイデスカは一人あたりの口銭の巨額さを強調する。
「でも、ここまでこぎつけるのに前任者から六年もかかって。人間関係の維持にかなりの接待交際費を注ぎ込んだし、契約が取れたら取れたで、両国の官僚や政治家に多額のリベートを払わなければならないし。もちろん、大使館にも」
と長谷川は補足説明した。
ジャナイデスカも周知のことだろうと土岐は思った。
「あなたが契約をとるとォ、ボクの銀行もいそがしくなるけどォ、報酬は関係ないからァ。まあァ、仕事ができればァ、それがボクの実績にはなるけどォ。いまヒマだからいいかァ」
と言うジャナイデスカの真意を斟酌しかねた。
仕事をしたいのか、したくないのか、それともどうでもいいのか、土岐にはよくわからない。
地酒もロブスターもクラブもなくなっていた。
酩酊してきた土岐の頭蓋の中を様々な雑念がランダムウォークし始めた。
(やっぱり、I kill youのIはヘンサチだったのか?)
などという妄想が土岐の眼窩の裏あたりを徘徊した。
「これで空港近代プロジェクトの独占契約はまちがいないじゃないですかァ。交換公文にもられることはもうきまってるんだしィ。濡れ手にアワですねェ。ヒッヒッヒッヒッヒッ」
とジャナイデスカは地酒を土岐のワイングラスいっぱいに注ぎこんだ。溢れる寸前でアラックの小瓶をよろよろと引っ込めた。
瓶の口から濃い紫の滴が垂れた。
「まあ、商社はうちの事務所だけだから。この国の経済規模ならば、商社は一社が適正規模というところでしょう」
と長谷川はジャナイデスカが暗に言おうとしている大使館との癒着を誤魔化そうとしている。
ジャナイデスカは上の空で聞き流している。通じなかった。
「そうかも知れないですがァ邦人たったふたりでェ総額数十億ドルの巨大プロジェクトじゃないですかァ」
とジャナイデスカは一人あたりの口銭の巨額さを強調する。
「でも、ここまでこぎつけるのに前任者から六年もかかって。人間関係の維持にかなりの接待交際費を注ぎ込んだし、契約が取れたら取れたで、両国の官僚や政治家に多額のリベートを払わなければならないし。もちろん、大使館にも」
と長谷川は補足説明した。
ジャナイデスカも周知のことだろうと土岐は思った。
「あなたが契約をとるとォ、ボクの銀行もいそがしくなるけどォ、報酬は関係ないからァ。まあァ、仕事ができればァ、それがボクの実績にはなるけどォ。いまヒマだからいいかァ」
と言うジャナイデスカの真意を斟酌しかねた。
仕事をしたいのか、したくないのか、それともどうでもいいのか、土岐にはよくわからない。
地酒もロブスターもクラブもなくなっていた。


