と語る。大半の人々が行商人のように大きな荷物を背負ったり、抱えたりしていた。先頭集団は横一列で十人ほど並んで出札口にやってきた。いずれも三十代前後の中産階層の現地人のようだ。
「派遣員は所長代理と同じ国の黄色い人でしょ?」
とショスタロカヤがフロントガラスに額をこすりつけるようにして、目を輝かせて確認してきた。
土岐は大きく頷いた。車の外に出た。灼熱の外気に包まれた。
三十人、四十人と出札口を出た人々は、出迎えに来た人と抱き合ったり、握手をしたり、挨拶を交わしたりしていた。彼らは出札口で左右にわかれる。駅前から街中へ散っていった。
五分経った。
土岐は、改札口の手前まで歩いて行った。
十分経った。
やがて列車は鋼鉄の鈍い軋み音を残して操車場に移動して行った。
プラットフォームの向こう側の駅の東口広場が見渡せるようになった。昨日、ジャナイデスカと昼食をとったレストランの二階とその右手の魚市場の看板が見えた。
人々の流れが急にまばらになった。
駅員が身の丈ほどもある大きな荷物を引き摺っている男の出札をせかしている。その男が口に咥えていた切符を駅員に突きだした。駅員は、その切符を二本の指で挟み取った。男は荷物を抱えたまま窮屈そうに出札口を出る。引き摺るように抱えてきた荷物の上にへたり込む。煙草に火をつけた。駅員は迷惑そうにその男に何か言う。プラットフォームを見渡す。出札口を長い鉛色のチェーンで封鎖した。立ち続けている土岐を一瞥して隣の駅事務室に消えた。
「ヘィ!ユゥルゥズ!」
とショスタロカヤがはしゃぎながら快哉の声を上げた。それから拍手をしながら近づいてきた。土岐に握手を求めてきた。
「ミスター・トキ、わざとまけてくれたことはわかってるよ。ありがとう。あなたがハンサム・ボーイに見えるよ。ずいぶん以前に、所長代理を自宅でご馳走したことがあったんだ。所長代理はこの国の習慣を知らなかったんだろうと思うけど、この国では自宅に招待されて、ご馳走されたらば、何らかの形でお返しをしなければいけないんだ。ずっと所長代理が無視してきたから、先週の金曜日変なメールを送信した。今思えばいけないことだった」
といわれて、土岐は体から体重が失せていくような感覚に襲われた。ショスタロカヤに、
「He was killed!」
「派遣員は所長代理と同じ国の黄色い人でしょ?」
とショスタロカヤがフロントガラスに額をこすりつけるようにして、目を輝かせて確認してきた。
土岐は大きく頷いた。車の外に出た。灼熱の外気に包まれた。
三十人、四十人と出札口を出た人々は、出迎えに来た人と抱き合ったり、握手をしたり、挨拶を交わしたりしていた。彼らは出札口で左右にわかれる。駅前から街中へ散っていった。
五分経った。
土岐は、改札口の手前まで歩いて行った。
十分経った。
やがて列車は鋼鉄の鈍い軋み音を残して操車場に移動して行った。
プラットフォームの向こう側の駅の東口広場が見渡せるようになった。昨日、ジャナイデスカと昼食をとったレストランの二階とその右手の魚市場の看板が見えた。
人々の流れが急にまばらになった。
駅員が身の丈ほどもある大きな荷物を引き摺っている男の出札をせかしている。その男が口に咥えていた切符を駅員に突きだした。駅員は、その切符を二本の指で挟み取った。男は荷物を抱えたまま窮屈そうに出札口を出る。引き摺るように抱えてきた荷物の上にへたり込む。煙草に火をつけた。駅員は迷惑そうにその男に何か言う。プラットフォームを見渡す。出札口を長い鉛色のチェーンで封鎖した。立ち続けている土岐を一瞥して隣の駅事務室に消えた。
「ヘィ!ユゥルゥズ!」
とショスタロカヤがはしゃぎながら快哉の声を上げた。それから拍手をしながら近づいてきた。土岐に握手を求めてきた。
「ミスター・トキ、わざとまけてくれたことはわかってるよ。ありがとう。あなたがハンサム・ボーイに見えるよ。ずいぶん以前に、所長代理を自宅でご馳走したことがあったんだ。所長代理はこの国の習慣を知らなかったんだろうと思うけど、この国では自宅に招待されて、ご馳走されたらば、何らかの形でお返しをしなければいけないんだ。ずっと所長代理が無視してきたから、先週の金曜日変なメールを送信した。今思えばいけないことだった」
といわれて、土岐は体から体重が失せていくような感覚に襲われた。ショスタロカヤに、
「He was killed!」


