「レストランを後にして、四人で土岐さんの部屋に行ったの。そしたらいきなり、最初はわたし、つぎは優子さんをかわるがわる抱きしめて、土下座したのよ。それから、二人の関係を呂律の回らない舌で延々と告白したのよ。どういうつもりなのか得意げだったわ。最後に、二人と関係のあったことを懺悔するって。そのあと、勝手に裸になって、『気のすむようにしてくれ』ってベッドの上で大の字になったの。だから、二人で下の毛を毟り取ったの。痛かったでしょ。そのとき、土岐さんが電気髭剃りを貸してくれて。おまけに、暴れだしたら、体を押さえてくれて。だから虎狩になったのよ」
と言われて長谷川は股間のひりひり感を思いだしたようだ。
土岐は自分が果たした役割を知った。潜在意識の中に長谷川に対する恨みのようなものがあったのかもしれない。土岐は長谷川の顔を見て少し頭を下げた。長谷川はそれを無視した。
「でも、もう怒っていないわよ。安心していいわ。怒っているのは、自分に対して。結婚して貞操観が変わったけど、主人を愛せなくなって、自暴自棄になっていたみたい」
と慶子がノースリーブの腕を組みながら自己分析をはじめた。
外に待たせているショスタロカヤが土岐は気になった。
長谷川もそう思ったらしい。
「すいません、運転手を外に待たせてあるんで」
慶子は引きとめようとはしなかった。
「愛、切る、優、がなんとかとか、言っていたけれど何のこと?」
と呟くような質問が土岐の横顔に飛んできた。
土岐はジャナイデスカの目撃現場について慶子に聞いた。
「牛田さんが、先日の深夜、夫人とあなたが牛田邸に一緒に来られたのを目撃されていますが」
「ええ。それが何か?」
「確か、車は牛田夫人のフランス車だったと思うんですが」
「そうです」
「そうだとすると、なぜ、先にこちらに寄って、あなたを下ろさなかったんですか?」
「彼女、つわりがひどくなって、それで、わたしが運転を代わったんです。わたしは真夜中でタクシーが拾えなかったので、彼女の車でここまできました。次の朝、優子さんがタクシーで車を取りに来ました。それが何か?」
と言う慶子の目が明らかに土岐をさげすんでいる。記憶を失うほど酔った勢いで、列車の中の慶子と長谷川の情事を土岐が盗み聞きしていたことを長谷川がばらしたのかもしれない。
と言われて長谷川は股間のひりひり感を思いだしたようだ。
土岐は自分が果たした役割を知った。潜在意識の中に長谷川に対する恨みのようなものがあったのかもしれない。土岐は長谷川の顔を見て少し頭を下げた。長谷川はそれを無視した。
「でも、もう怒っていないわよ。安心していいわ。怒っているのは、自分に対して。結婚して貞操観が変わったけど、主人を愛せなくなって、自暴自棄になっていたみたい」
と慶子がノースリーブの腕を組みながら自己分析をはじめた。
外に待たせているショスタロカヤが土岐は気になった。
長谷川もそう思ったらしい。
「すいません、運転手を外に待たせてあるんで」
慶子は引きとめようとはしなかった。
「愛、切る、優、がなんとかとか、言っていたけれど何のこと?」
と呟くような質問が土岐の横顔に飛んできた。
土岐はジャナイデスカの目撃現場について慶子に聞いた。
「牛田さんが、先日の深夜、夫人とあなたが牛田邸に一緒に来られたのを目撃されていますが」
「ええ。それが何か?」
「確か、車は牛田夫人のフランス車だったと思うんですが」
「そうです」
「そうだとすると、なぜ、先にこちらに寄って、あなたを下ろさなかったんですか?」
「彼女、つわりがひどくなって、それで、わたしが運転を代わったんです。わたしは真夜中でタクシーが拾えなかったので、彼女の車でここまできました。次の朝、優子さんがタクシーで車を取りに来ました。それが何か?」
と言う慶子の目が明らかに土岐をさげすんでいる。記憶を失うほど酔った勢いで、列車の中の慶子と長谷川の情事を土岐が盗み聞きしていたことを長谷川がばらしたのかもしれない。


