@ずいぶんと、そっけないメールね。あなたはいつもそうだけど、メールの文面だけでもあなたの情感や情の薄い性格が伝わってくるから不思議ね。今日ちょっとした事件があって、夕方お母さんのところによったら、信用金庫の通帳を見せて、怒っているの。聞いたら年金の受け取り口座がいつのまにか郵便局から信用金庫に変更になっているんだって。『おかあさん、信用金庫の職員が持ってきた書類にサインしてはんこおさなかった?』って問いただしたら、『そうしたような、気がする』だって。郵便局は歩いてすぐのところにあるから、使い勝手がいいけれど、信用金庫のATMは隣駅よ。わざわざ下ろしに行ったら定期預金の金利なんか一回でふっとんじゃうでしょ。あなた、おかあさん、一人にしちゃ駄目よ。老齢者を狙った詐欺が横行しているんだから。郵便局の残高がなくなっちゃって、自動引き落としが出来ないのよ。電気代だって、ガス代だって、水道代だって、振り込み手数料を取られるのよ。あなたのおかあさんなのよ。なんとかして!@
長谷川はひとりごとのように話し出した。
「これ読みながら母に対してはこれといった親孝行をしていないことに思い当たった。それほど情愛細やかな母とは思わないが、それでも今日明日にでも死んでしまえば、何もしてやらなかったことを深く後悔するだろう」
それから長谷川は意を決したように佐知子に返信メールを打った。
@佐知子、ありがとう。君の母親でもないのに毎日のようにご機嫌伺いをしてもらって感謝している。この国にはとりあえず、あと一年いることになりそうだ。正式には来月の下旬あたりにわかるが、決まったら、母と二人で来ないか。三人で結婚式だけでもしよう。それまで、母と君のパスポートをとっといてくれ。ビザの申請に何週間か掛かるから、今週中にでもパスポートを申請してくれ@
打ち終えて長谷川はまた、独り言を言う。
「そっけないとは思うが、なんとなく胸がいっぱいになって、これ以上書けない。結婚を申し込む前に、佐知子の了承をえる手続きを踏む必要があるとは思うが、彼女が断るとは想像も出来ない」
つぎに、長谷川はヘンサチとジャナイデスカの個人メールアドレス宛に電子メールを送信した。
長谷川はひとりごとのように話し出した。
「これ読みながら母に対してはこれといった親孝行をしていないことに思い当たった。それほど情愛細やかな母とは思わないが、それでも今日明日にでも死んでしまえば、何もしてやらなかったことを深く後悔するだろう」
それから長谷川は意を決したように佐知子に返信メールを打った。
@佐知子、ありがとう。君の母親でもないのに毎日のようにご機嫌伺いをしてもらって感謝している。この国にはとりあえず、あと一年いることになりそうだ。正式には来月の下旬あたりにわかるが、決まったら、母と二人で来ないか。三人で結婚式だけでもしよう。それまで、母と君のパスポートをとっといてくれ。ビザの申請に何週間か掛かるから、今週中にでもパスポートを申請してくれ@
打ち終えて長谷川はまた、独り言を言う。
「そっけないとは思うが、なんとなく胸がいっぱいになって、これ以上書けない。結婚を申し込む前に、佐知子の了承をえる手続きを踏む必要があるとは思うが、彼女が断るとは想像も出来ない」
つぎに、長谷川はヘンサチとジャナイデスカの個人メールアドレス宛に電子メールを送信した。


