長谷川の部屋を出た。隣の自室を開けようとした。カギがかかっている。長谷川の部屋に戻る。隣の部屋に電話した。
コール音5回で、長谷川が出てきた。
「土岐だけど、部屋のカギを開けてくれないか」
「どうした?」
「下着を替えたいんだ」
「なんで?」
「なんでって、そこは僕の部屋だ」
長谷川がベッドから飛び起きる気配がした。
「なんでおまえの部屋で寝ているんだ」
「それは、こっちが聞きたい。どうでもいいから、鍵をあけてくれ」
と言いながら、電話を切った。土岐は隣の自室のドアを開けた。
長谷川が素っ裸で立っていた。陰毛がない。
土岐は思わず笑った。
「君、毛なかったっけ」
長谷川は一瞬、意味を理解できないという顔をした。頭に手をやる。毛髪をかきむしる。もう一度、土岐の眼を見る。
「どこの毛だ」
「下だ」
長谷川は目を落として、やっと気づいた。
土岐はクローゼットから下着を取りだした。着替えた。
「下腹部が毟られたようにヒリヒリする」
と泣き出しそうな長谷川の声に土岐はおかしさをこらえられない。
「ひどい虎刈りだ」
「何か悪いことでもしたのか。まるで見当が付かない」
と床に落ちていた下着を長谷川は身に着ける。
腕時計を見る。七時を回っていた。
土岐は長谷川を隣の部屋に追い出した。急いで、身づくろいをした。階下に降りた。エントランスのベルボーイを捕まえた。
「昨夜来た、二人の夫人はどうした?」
と聞く。眠そうな眼で少し思い出すようにして天を仰ぎ、
「二人とも、遅くになって帰りました」
と答える。続けて、確認した。
「車は?」
と聞くと、意味がわからないようだった。言い直した。
「乗ってきた車に二人乗って帰ったのか?」
「ええ、乗ってきた車で」
「どっちが運転してた?」
「小柄な女性の方が」
ということは優子が運転したということだ。
「何時ごろだった?」
「ずいぶん、遅かったですよ。十二時は過ぎていたかも」
いつの間にか、長谷川が身づくろいして土岐の背後に立っていた。土岐とベルボーイの会話を聞いていた。
コール音5回で、長谷川が出てきた。
「土岐だけど、部屋のカギを開けてくれないか」
「どうした?」
「下着を替えたいんだ」
「なんで?」
「なんでって、そこは僕の部屋だ」
長谷川がベッドから飛び起きる気配がした。
「なんでおまえの部屋で寝ているんだ」
「それは、こっちが聞きたい。どうでもいいから、鍵をあけてくれ」
と言いながら、電話を切った。土岐は隣の自室のドアを開けた。
長谷川が素っ裸で立っていた。陰毛がない。
土岐は思わず笑った。
「君、毛なかったっけ」
長谷川は一瞬、意味を理解できないという顔をした。頭に手をやる。毛髪をかきむしる。もう一度、土岐の眼を見る。
「どこの毛だ」
「下だ」
長谷川は目を落として、やっと気づいた。
土岐はクローゼットから下着を取りだした。着替えた。
「下腹部が毟られたようにヒリヒリする」
と泣き出しそうな長谷川の声に土岐はおかしさをこらえられない。
「ひどい虎刈りだ」
「何か悪いことでもしたのか。まるで見当が付かない」
と床に落ちていた下着を長谷川は身に着ける。
腕時計を見る。七時を回っていた。
土岐は長谷川を隣の部屋に追い出した。急いで、身づくろいをした。階下に降りた。エントランスのベルボーイを捕まえた。
「昨夜来た、二人の夫人はどうした?」
と聞く。眠そうな眼で少し思い出すようにして天を仰ぎ、
「二人とも、遅くになって帰りました」
と答える。続けて、確認した。
「車は?」
と聞くと、意味がわからないようだった。言い直した。
「乗ってきた車に二人乗って帰ったのか?」
「ええ、乗ってきた車で」
「どっちが運転してた?」
「小柄な女性の方が」
ということは優子が運転したということだ。
「何時ごろだった?」
「ずいぶん、遅かったですよ。十二時は過ぎていたかも」
いつの間にか、長谷川が身づくろいして土岐の背後に立っていた。土岐とベルボーイの会話を聞いていた。


