三番目の画像は、九時五十五分に吾妻橋の交差点近くの商店街で撮られている。浅草駅の改札から徒歩五分足らずの防犯カメラ。ここでも同じような画像が撮られている。ここから真田は徒歩で、隅田川沿いの江戸通りを北上した。検察提出の供述証拠によれば、真田は日ごろのままならない生活の鬱憤をはらそうと、隅田川土手でクロスボウの試し打ちをするため適当な場所を探していた。ぶらぶら歩きながら隅田公園に向かう途中、江戸通りの隅田川沿いの歩道の上で煙草に火をつけているところをコンビニエンスストアの駐車場の防犯カメラに十時十分、コインパーキングの防犯カメラに十時十五分、言問橋近くのガソリンスタンドの防犯カメラに十時二十分、スポーツセンターの監視カメラに十時半ごろ、それぞれ撮られている。いずれの画像もポーズがほぼ同じだ。道路に背を向け、二メートルを少し超える高さから下方に向けられたカメラのレンズに正対するように立っている。画像の時刻を見ると、だいたい五分おきに撮られている。それぞれの防犯カメラの間隔は二百メートルもない。〈明確な目的を持って歩けば二百メートルの距離を歩くのに五分もかからない〉と宇多の注記がある。
このほかにも監視カメラや防犯カメラを設置している箇所はいくつかあったが証拠申請されていない。真田が歩行し、静止していなかったため画像が不鮮明であったのかもしれない。あるいは七枚の画像で立証に十分との警察と検察の判断であったのかもしれない。
土岐は東武伊勢崎線のガード下から百メートルほど北上した。十時十分の画像を提供したコンビニに入った。客は小柄な老人二人。黄緑色の制服の店員はレジに一人と商品棚に商品を並べているのが一人いた。土岐は年上に見えるレジ前の中年男性店員に声をかけた。
「すいません。防犯カメラについて、ちょっとお聞きしたいんですが、・・・」
「・・・はあ?」と気の抜けたような返事をする。
「防犯カメラは、このレジの上のやつと、駐車場にあるのと、2台だけですか?」と聞きながら、土岐はレジ脇の板ガムを一個つかんだ。それをレジカウンターの上に置く。
「・・・そうです。・・・このガム一個でよろしんですか?」と焦点の合わない目を土岐に向ける。ガムのバーコードをスキャンする。
「画像は、どのくらい保存してるんですか?」
このほかにも監視カメラや防犯カメラを設置している箇所はいくつかあったが証拠申請されていない。真田が歩行し、静止していなかったため画像が不鮮明であったのかもしれない。あるいは七枚の画像で立証に十分との警察と検察の判断であったのかもしれない。
土岐は東武伊勢崎線のガード下から百メートルほど北上した。十時十分の画像を提供したコンビニに入った。客は小柄な老人二人。黄緑色の制服の店員はレジに一人と商品棚に商品を並べているのが一人いた。土岐は年上に見えるレジ前の中年男性店員に声をかけた。
「すいません。防犯カメラについて、ちょっとお聞きしたいんですが、・・・」
「・・・はあ?」と気の抜けたような返事をする。
「防犯カメラは、このレジの上のやつと、駐車場にあるのと、2台だけですか?」と聞きながら、土岐はレジ脇の板ガムを一個つかんだ。それをレジカウンターの上に置く。
「・・・そうです。・・・このガム一個でよろしんですか?」と焦点の合わない目を土岐に向ける。ガムのバーコードをスキャンする。
「画像は、どのくらい保存してるんですか?」