「犯行現場につくと平尾はカラメールかカラ電話を梨本の母親に送信した。真田がボウガンの試し打ちをしたモニター会場のビルからスポーツセンターのトラックまで女の足で歩いて10分程度かかる。平尾はスポーツセンターのトラックに今田を連れてゆき、ピューマのジャージーを脱がせ、それを下に敷いて今田を誘惑した。今田はそれに乗って夢中になって平尾に抱き付いた。そこに近くの空きビルで真田にボウガンの試し打ちをさせた梨本の母親が真田の指紋のついたボウガンと矢を持ってやってきた。今田は夢中で平尾に抱き付いているところを背後から梨本の母親のボウガンで正確に心臓の位置に矢を刺された。今田が背中から心臓を射抜かれたのは偶然ではなく看護師として心臓の位置を正確に知ってたからだ」
「・・・でも、なんで犯行現場がスポーツセンターのトラックなんだ」
「隣の野球場やテニスコートは昼間でも利用者がある。しかし、トッラクは学校の体育祭などで利用する程度で普段は誰もいない。予約状況はネットで簡単に調べられる。とくに平日の午前中の利用者はほとんどない。しかもいつでも自由に立ち入りできる。3メートルの塀があって外からは見えない。平尾は治験コーディネーターの立場から飲食について聞くこともあり、今田がスポーツセンター近くのトンカツ屋に時々通ってたことや自宅採尿を依頼した時、スポーツセンターのトイレを利用してたことを聞いてた。同時に今田が複数治験や連続治験を規約違反と知り始めたことも知ってた。そのことが梨本を脅迫するネタになることを今田が了解してたかどうかはわからないが、平尾は脅迫するネタになることを知ってた。平尾は梨本との結婚を望んでおり、2人の未来を今田ごときに妨害されたくなかった」
「・・・看護師の母親の当日の行動はどうだったんだ」