田端で山の手線に乗り、秋葉原で総武線に乗り換え、市ヶ谷で降りて靖国神社向かいの宇多法律事務所に行った。あいていない。土岐はそこから宇多に電話した。
「すまん。あと五分で着く」と道路の騒音まじりに宇多が言う。
 土岐は階段に腰かけてスマホに土橋の証言をメモした。そこにポロシャツの宇多が現れた。
 応接室の黒革のソファに先に腰を下ろすと土岐は話し出した。
「とりあえず、月5万の嘱託の手当て分の調査は、今日で終わりにしたいんで、・・・」
「・・・仕方ないか。それで目星はついたの?」