「ご存じだと思いますが、3か月ほどまえ、殺人事件がありまして、その凶器をたしか、被疑者がこちらで購入したらしいんですが、・・・」という土岐の問いには答えない。
「・・・お名刺を見る限りでは、警察の方ではないんですね」
「すいません。僕はフリーランスで、被疑者の弁護をしてる弁護士に調査を依頼されまして」
「ここにも刑事さんが来られました。で、どういうことを調査されたいんですか?」
「被疑者、いや正確にいうと今は被告なんですが、一月十六日にこの店でボウガン、いや、クロスボウを購入してるんですが、クロスボウを販売したというデータはないでしょうか?」
「そのことを刑事さんに聞かれた記憶はないですね。ちょっと調べてみましょう」
土岐は名刺をながめた。見達勉とある。見達は国防色の金縁のバインダーを持って現れた。
「・・・ここ一年は、・・・一月十六日以外には売れていないですね」
「それ以前は売れてないんですか?」
「・・・すいません。御覧の通り、この事務所は手狭なもので、会計年度が終わると、倉庫に書類はしまっちゃうんです。データベースはハードディスクに残してありますが、・・・」
「それじゃ、被告が購入したジャージーと野球帽はどうですか?」
「・・・どこのメーカーのものですか?」
「ジャージーはピューマのグレーのもので、野球帽は濃紺でヤンキースのロゴがあります」
「・・・それは毎日のように、よく売れています。いつ頃のデータがご入り用ですか?」
「それじゃ、スポーツマスクはどうですか?」
「スポーツマスクは花粉が出始めたんで最近よく売れていますが一月ごろは多分それほど売れていないと思います。九州あたりではPM2・5と黄砂の関係でよく売れているそうです。それでお知りになりたいのはマスク本体の方ですか、それともフィルターの方ですか?」
「本体とフィルターと別売りなんですか。ドラッグストアにあるようなのとは違うんで?」
「サンプルをお見せしましょう」と女事務員にスポーツマスクを持ってくるように命じた。
「スポーツサングラスも普通のサングラスとは違うんですか?」と土岐は素人っぽく聞く。
「運動するのが前提ですから、ずれない、はずれない、軽いというのが商品特性です」
そこに女子事務員がスポーツマスクを持ってきた。見達が手に取って説明する。
「・・・お名刺を見る限りでは、警察の方ではないんですね」
「すいません。僕はフリーランスで、被疑者の弁護をしてる弁護士に調査を依頼されまして」
「ここにも刑事さんが来られました。で、どういうことを調査されたいんですか?」
「被疑者、いや正確にいうと今は被告なんですが、一月十六日にこの店でボウガン、いや、クロスボウを購入してるんですが、クロスボウを販売したというデータはないでしょうか?」
「そのことを刑事さんに聞かれた記憶はないですね。ちょっと調べてみましょう」
土岐は名刺をながめた。見達勉とある。見達は国防色の金縁のバインダーを持って現れた。
「・・・ここ一年は、・・・一月十六日以外には売れていないですね」
「それ以前は売れてないんですか?」
「・・・すいません。御覧の通り、この事務所は手狭なもので、会計年度が終わると、倉庫に書類はしまっちゃうんです。データベースはハードディスクに残してありますが、・・・」
「それじゃ、被告が購入したジャージーと野球帽はどうですか?」
「・・・どこのメーカーのものですか?」
「ジャージーはピューマのグレーのもので、野球帽は濃紺でヤンキースのロゴがあります」
「・・・それは毎日のように、よく売れています。いつ頃のデータがご入り用ですか?」
「それじゃ、スポーツマスクはどうですか?」
「スポーツマスクは花粉が出始めたんで最近よく売れていますが一月ごろは多分それほど売れていないと思います。九州あたりではPM2・5と黄砂の関係でよく売れているそうです。それでお知りになりたいのはマスク本体の方ですか、それともフィルターの方ですか?」
「本体とフィルターと別売りなんですか。ドラッグストアにあるようなのとは違うんで?」
「サンプルをお見せしましょう」と女事務員にスポーツマスクを持ってくるように命じた。
「スポーツサングラスも普通のサングラスとは違うんですか?」と土岐は素人っぽく聞く。
「運動するのが前提ですから、ずれない、はずれない、軽いというのが商品特性です」
そこに女子事務員がスポーツマスクを持ってきた。見達が手に取って説明する。