@調査のほうはどう?順調に稼いでいるか?見城仁美の家族関係だが、仁美は二十九歳で、父親は見城敦で、葛飾区下小松町で生まれ、五年前に五十五歳で死亡している。母親は中井愛子で五十歳、墨田区向島で生まれ、十五年前に離婚して旧姓に戻っている。現在、若年性痴呆で群馬県水上の特養に入居している。したがって見城仁美は戸籍上は父親に付いて行ったことになる。仁美は錦糸町生まれで兄弟姉妹はいない。見城敦の父親、仁美の祖父になるが、名前は長田(オサダ)賢治で、かなり高齢で、八十歳を超えているが存命のようで、新潟県西頸城郡糸魚川町大字横町の生まれだ。現在もそこに住民票がある。敦の母親、仁美の祖母は見城花江で、長田賢治と同じ町で生まれている。長田賢治と離婚後、三十年前に五十一歳で死亡している。中井愛子の母親は中井和子で、本所で生まれている。これも二十五年前に五十四歳で死亡している。中井愛子は中井和子の戸籍上、長女もしくは次女といった表記ではなく、女となっているので、非嫡出子だ。したがって、中井愛子の父親は分からない。ついでに、頼まれてはいないが、廣川弘毅の方はすでに調べてあるので付け加えておく。弘毅は京都府左京区田中門前町の生まれだ。正妻の圭子は敦賀の生まれで、旧姓は平田で三十五年前に死亡している。長女が金田民子で五十一歳、五年前に金田義明と別居し、現在、財産分割をめぐって離婚調停中だ。長男が廣川浩司で五十歳、二人とも台東区谷中清水町の生まれで、どっちにも子供はいない。つまり、弘毅に孫はいない。浩司は数年前に藤野桜と結婚している。弘毅と佐藤加奈子との間には子供はいない。佐藤加奈子の戸籍は調べていない@
メールを読み終えて土岐は礼の返信をした。
送信した後、海野のメールを読んだだけでは、人間関係がいまひとつよく把握できなかった。
土岐は調査結果も含めて、簡単な図を描いてみた。見城仁美の家系の複雑な様子が一目で分かった。両親も父方の祖父母も離婚し、母親は非嫡出子で特別養護老人ホームに居住している。仁美の他人に対して極端に閉鎖的な態度が家族関係に根ざしているであろうことが容易に想像できた。自らの生い立ちのありようをそのまま外部に対して何の取り繕いもせずに、オブラートに包むこともなく、むき出しにして生きているということは、精神的にはまだ幼い子供ということか。
メールを読み終えて土岐は礼の返信をした。
送信した後、海野のメールを読んだだけでは、人間関係がいまひとつよく把握できなかった。
土岐は調査結果も含めて、簡単な図を描いてみた。見城仁美の家系の複雑な様子が一目で分かった。両親も父方の祖父母も離婚し、母親は非嫡出子で特別養護老人ホームに居住している。仁美の他人に対して極端に閉鎖的な態度が家族関係に根ざしているであろうことが容易に想像できた。自らの生い立ちのありようをそのまま外部に対して何の取り繕いもせずに、オブラートに包むこともなく、むき出しにして生きているということは、精神的にはまだ幼い子供ということか。