法蔵飛魂

「・・・あんたが受け取ったカネだ。どうしようと、あんたの勝手だ。おれは関知しない」
「すいません。共同事務所の設立資金は、来年の四月までになんとか用意します」
「・・・無理しなくてもいいよ。状況によっちゃ、四月に設立できないかも知れん」
 海野は妙にやさしい口ぶりだった。土岐にとっては初めて接する海野の優しさだった。その優しさを確かめるように土岐は聞いた。
「で、長田賢治の件は、どうするんですか?」
「・・・どうするって?」
「いやあ、大学生の目撃証言では、廣川弘毅の転落に杖でとどめを刺したとか・・・」
「・・・あんな証言、あてになるものか。目撃証言は目撃者の心象でいかようにも変わる」
「実行犯の金井泰三はどうするんですか?」