「・・・それが城田簿記学校の経営方針なんです。合格した生徒の中から、担当教員が講師を選びます。最短でも三か月ほど生徒として、じっくり見ているので、人材の選び方としては、新卒の学生を一般企業が選ぶ場合より、失敗の確率は低いはずです。先生というのはある意味名誉職ですから、生徒の方も、多少給与が安くても、喜んで仕事をします。こうして城田簿記学校は常に人件費の安い講師を調達して、大儲けしたわけです。私も、税理士に合格するまでは、そうした講師の一人でした。それに、資格試験の勉強をしている人間は、組織の中で上役から命令されることを面白くないと感じているのが多いので、私のように資格を取れば、独立するので、新陳代謝が保たれるわけです」
セールストークのつもりなのか、話に淀みがない。土岐は用件を切り出した。
「実は、かつて篠原さんの生徒だった人のことで、お聞きしたいことがありまして・・・」
篠原の眼が営業モードから、落胆モードに転じた。
「廣川弘毅という生徒を指導したことがあると思うんですが・・・」
「・・・先日亡くなられた方ですか?」
「そうです。そのことについて調査しています」
「・・・どんなことでしょう」
「廣川弘毅が最初の城田簿記学校校歌の作詞をしたことを覚えておられますか?」
「・・・そういえば、そうでしたね。廣川さんは、高齢者にしては物覚えがよくて、作詞の才能もあるのかと、・・・多才な人でしたね」
「ほかに、何か印象に残っていたことはありませんか?」
「・・・もう、時効だから話しますが、・・・その頃、わたしは極秘に日商簿記検定試験の作問をしていて・・・」
「答練かなんかですか?」
「・・・いえ、本番の方です」
「へーえ、それは、すごいことですね」
「・・・まあ、自分の名前で作問していれば、たいしたものですが、・・・代筆です」
「そんなこと、問題にならないんですか?」
セールストークのつもりなのか、話に淀みがない。土岐は用件を切り出した。
「実は、かつて篠原さんの生徒だった人のことで、お聞きしたいことがありまして・・・」
篠原の眼が営業モードから、落胆モードに転じた。
「廣川弘毅という生徒を指導したことがあると思うんですが・・・」
「・・・先日亡くなられた方ですか?」
「そうです。そのことについて調査しています」
「・・・どんなことでしょう」
「廣川弘毅が最初の城田簿記学校校歌の作詞をしたことを覚えておられますか?」
「・・・そういえば、そうでしたね。廣川さんは、高齢者にしては物覚えがよくて、作詞の才能もあるのかと、・・・多才な人でしたね」
「ほかに、何か印象に残っていたことはありませんか?」
「・・・もう、時効だから話しますが、・・・その頃、わたしは極秘に日商簿記検定試験の作問をしていて・・・」
「答練かなんかですか?」
「・・・いえ、本番の方です」
「へーえ、それは、すごいことですね」
「・・・まあ、自分の名前で作問していれば、たいしたものですが、・・・代筆です」
「そんなこと、問題にならないんですか?」


