玉井要蔵は静かに含み笑いを始めた。
「・・・まあ想像するのは勝手だ。真実は一つかも知れないが、当事者たちの記憶も曖昧になっている。自殺の処理で殆ど誰も困らないのであれば、それはそれでいいじゃないか」
「・・・それは、そうだ。真実を追求しないと職務義務違反になるなどと、おれなんぞ、言える立場じゃないし・・・」
と海野が言うと、土岐が口をはさんだ。
「ぼくも偉そうなことを言える立場ではありませんが、・・・実行犯とされる金井泰三はこのままでいいんですか?なんとなく、すっきりしませんが・・・」
海野が土岐を横眼で見た。
「・・・金井泰三をしょっ引いて、ゲロさせてどうする?やつは絶対に吐かないぞ。吐いたら、身の破滅だということは分かっているし、吐かなければ、長瀬や馬田や船井から相応の見返りが期待できる。玉井さんも金井が吐かなければ、・・・金井は自分の手下のようなものだから、・・・金井もこれまで、泥臭い仕事ばかりで、多少割りを食ってきたが、長瀬や馬田や船井に対して、立場上よくなるし、・・・」
不意に玉井が短い脚で立ちあがった。
「・・・話は以上か?おれとしては何も言うことはない。まあ勝手に想像してくれ。とてつもない事実が明らかになったら、おれに相談してくれ。悪いようにはしない。しかし今日程度の話では、なんらかの申し出があったとしても、まったく応じられないな。今日は天気がよかったし、散歩がてら須田町からやって来たが、まあその甲斐はあまりなかったな。・・・いずれにしても、海野刑事の賢明な判断に期待しているよ。それに来年定年退職だそうで、・・・あてがわれた再就職先に満足していないなら相談に乗ってもいいぜ」
そう言いながら玉井は事務室の蛍光灯を順に消し始めた。
海野は土岐に目配せして、部屋の外に出た。玉井を事務室に残して、土岐と海野はエレベーターに乗った。
エレベーターが頼りなげに降下し始めてから海野が言った。
「・・・やっこさん、おれたちがどこへ行くか、確認するはずだ。どうだ、これから八丁堀に行く気力はあるか?」
「八丁堀?」
「・・・ああ、ウォーターフロントの超高級マンションだ」
「長瀬啓志ですか?」
「・・・そうだ。在宅は確認してある」
「・・・まあ想像するのは勝手だ。真実は一つかも知れないが、当事者たちの記憶も曖昧になっている。自殺の処理で殆ど誰も困らないのであれば、それはそれでいいじゃないか」
「・・・それは、そうだ。真実を追求しないと職務義務違反になるなどと、おれなんぞ、言える立場じゃないし・・・」
と海野が言うと、土岐が口をはさんだ。
「ぼくも偉そうなことを言える立場ではありませんが、・・・実行犯とされる金井泰三はこのままでいいんですか?なんとなく、すっきりしませんが・・・」
海野が土岐を横眼で見た。
「・・・金井泰三をしょっ引いて、ゲロさせてどうする?やつは絶対に吐かないぞ。吐いたら、身の破滅だということは分かっているし、吐かなければ、長瀬や馬田や船井から相応の見返りが期待できる。玉井さんも金井が吐かなければ、・・・金井は自分の手下のようなものだから、・・・金井もこれまで、泥臭い仕事ばかりで、多少割りを食ってきたが、長瀬や馬田や船井に対して、立場上よくなるし、・・・」
不意に玉井が短い脚で立ちあがった。
「・・・話は以上か?おれとしては何も言うことはない。まあ勝手に想像してくれ。とてつもない事実が明らかになったら、おれに相談してくれ。悪いようにはしない。しかし今日程度の話では、なんらかの申し出があったとしても、まったく応じられないな。今日は天気がよかったし、散歩がてら須田町からやって来たが、まあその甲斐はあまりなかったな。・・・いずれにしても、海野刑事の賢明な判断に期待しているよ。それに来年定年退職だそうで、・・・あてがわれた再就職先に満足していないなら相談に乗ってもいいぜ」
そう言いながら玉井は事務室の蛍光灯を順に消し始めた。
海野は土岐に目配せして、部屋の外に出た。玉井を事務室に残して、土岐と海野はエレベーターに乗った。
エレベーターが頼りなげに降下し始めてから海野が言った。
「・・・やっこさん、おれたちがどこへ行くか、確認するはずだ。どうだ、これから八丁堀に行く気力はあるか?」
「八丁堀?」
「・・・ああ、ウォーターフロントの超高級マンションだ」
「長瀬啓志ですか?」
「・・・そうだ。在宅は確認してある」


