とため息を吐いて、転げ落ちるように本革張りのソファーに腰を落とす。土岐は静かに腰をおろしながら嫌みのような自嘲をもらす。
「貧乏の意味合いがぼくとは二ケタほど違いますけどね」
宇多は土岐の言うことを無視する。
「・・・それで、どう?佐藤加奈子の一件は?」
「ほぼ、調査が終わりつつあります」
宇多とは一歳しか違わないが、力関係から宇多は土岐を見降ろすように言う。
「・・・で、勝てそう?」
「たぶん」
「・・・でも、警察は自殺で片づけたんでしょ」
「担当刑事は、自殺とは思っていないようです」
「・・・でも、職務義務違反になるから、そんなことを裁判で証言するわけないでしょ」
「自殺の根拠は目撃証言で、それは間違いなく偽証です」
そこに秘書がお茶を持って入ってきた。テーブルにお茶を置きながらかがみこんでパンティラインが浮かび上がる腰のあたりを宇多はじっと見つめている。
「・・・例の見城仁美とかいうOLね。・・・で、偽証をどうやって立証するの?」
「目撃者がもう一人いて、・・・男子学生なんですが、彼に見城仁美の証言が偽証であることを証言してもらいます」
「・・・どうやって?」
「見城仁美の最初の証言は、男子学生とほぼ同じなんですが、あとで、自殺だと証言を変えたんです」
「・・・最初の証言の記録は残っているの?」
「海野刑事が聞いています」
「・・・でも、その人、自殺で調書をあげたんだから、そんなことは証言しないでしょ」
「いえ大丈夫です。来年定年なんで、ぼくと共同事務所を経営することになっています。定年後に、法廷に立ってもらえると思います」
「・・・ちょっと待ってよ。裁判の開廷が来年に延びたら、そのことを相手の弁護士につっこまれるでしょ。共同事務所を立ちあげたら、その海野刑事は利害関係者になっちゃうでしょ」
「そうなれば、共同事務所の経営は先延ばしにします。・・・ここの事務所からの仕事をもっと回してくれれば、海野刑事にとっては、証言の励みになると思います」
「・・・それも、結審してからね。・・・でも、一審のあとで、そのことが相手の弁護士にばれないようにしないとね。上告期限後にしてもらわないとね」
宇多はテーブルの上のシガレットケースを開けると、葉巻を取り出して、ライターで火を付けた。バニラのような甘い香りが土岐の鼻先をくすぐる。宇多が煙を吐き出す。
「貧乏の意味合いがぼくとは二ケタほど違いますけどね」
宇多は土岐の言うことを無視する。
「・・・それで、どう?佐藤加奈子の一件は?」
「ほぼ、調査が終わりつつあります」
宇多とは一歳しか違わないが、力関係から宇多は土岐を見降ろすように言う。
「・・・で、勝てそう?」
「たぶん」
「・・・でも、警察は自殺で片づけたんでしょ」
「担当刑事は、自殺とは思っていないようです」
「・・・でも、職務義務違反になるから、そんなことを裁判で証言するわけないでしょ」
「自殺の根拠は目撃証言で、それは間違いなく偽証です」
そこに秘書がお茶を持って入ってきた。テーブルにお茶を置きながらかがみこんでパンティラインが浮かび上がる腰のあたりを宇多はじっと見つめている。
「・・・例の見城仁美とかいうOLね。・・・で、偽証をどうやって立証するの?」
「目撃者がもう一人いて、・・・男子学生なんですが、彼に見城仁美の証言が偽証であることを証言してもらいます」
「・・・どうやって?」
「見城仁美の最初の証言は、男子学生とほぼ同じなんですが、あとで、自殺だと証言を変えたんです」
「・・・最初の証言の記録は残っているの?」
「海野刑事が聞いています」
「・・・でも、その人、自殺で調書をあげたんだから、そんなことは証言しないでしょ」
「いえ大丈夫です。来年定年なんで、ぼくと共同事務所を経営することになっています。定年後に、法廷に立ってもらえると思います」
「・・・ちょっと待ってよ。裁判の開廷が来年に延びたら、そのことを相手の弁護士につっこまれるでしょ。共同事務所を立ちあげたら、その海野刑事は利害関係者になっちゃうでしょ」
「そうなれば、共同事務所の経営は先延ばしにします。・・・ここの事務所からの仕事をもっと回してくれれば、海野刑事にとっては、証言の励みになると思います」
「・・・それも、結審してからね。・・・でも、一審のあとで、そのことが相手の弁護士にばれないようにしないとね。上告期限後にしてもらわないとね」
宇多はテーブルの上のシガレットケースを開けると、葉巻を取り出して、ライターで火を付けた。バニラのような甘い香りが土岐の鼻先をくすぐる。宇多が煙を吐き出す。


