「それじゃあ、こういうのはどうです。廣川弘毅が開示情報という雑誌を郵送ではなく、自ら手渡ししていた所があるんですが、その中の一つに八紘物産の第二総務部があります。さっきの、USライフの大株主の話と繋がりませんか?」
聞きながら海野は考え込んだ。腕組みをしているが、腕が短く、しかも太いので、組んだ腕がほどけそうになっている。海野は自問自答するようにつぶやく。
「・・・現金授受の目的で、開示情報を直接、総務部に運んでいるとすれば、その関係を断つために廣川弘毅を殺害したか?・・・いや、それは、ありえないな。他殺であることがばれれば、そのリスクは広告掲載費じゃ、おいつかないだろう。とすると総務部が自殺を偽装するためにUSライフに手を回したとすれば、その動機は何か?・・・自らが手を染めていない他殺を隠すためにわざわざUSライフに圧力をかける理由はなんだ?」
海野はおつまみにも生ビールにも手をださずに、考え込んでいる。土岐は海野がUSライフに籠絡されていないことを信じて、手の内を見せることにした。
「じつは大手町の高層ビルの谷間に船井ビルという雑居ビルがあって、このビルに最近まで開示情報に広告を出し続けていた広告主の事務所があって、ひとつは今話した八紘物産の第二総務部、それからビルのオーナーの船井肇の一級建築士事務所、もうひとつは長瀬啓志公認会計士事務所、最後が海野さんの同業者だった玉井要蔵の玉井企画。こいつらを取り調べれば事件の全貌が間違いなく明らかになると踏んでいます。ただ、いまのところ有無を言わせないような証拠がないので、直接、調査することをためらっています」
そう土岐が言っても海野はまだ考え込んでいる。土岐は手帳のメモを広げて、さらに続けた。
「ついでに言うと、このビルには八紘物産中興の祖と言われる馬田重史名誉相談役の事務所もあって、この馬田重史と船井肇と長瀬啓志はそれぞれ、海軍兵学校、海軍経理学校、海軍機関学校に入学しているんですが、三人とも卒業していないんです。さらに言うと、廣川弘毅も陸軍予備士官学校に入学しているんですが、こちらも卒業した形跡がありません。しかも、廣川弘毅は、入学した一年後に京都の清和家の書生となって、松村という偽名で終戦を迎えています」
海野が目を細めて、ぽつりと言った。
聞きながら海野は考え込んだ。腕組みをしているが、腕が短く、しかも太いので、組んだ腕がほどけそうになっている。海野は自問自答するようにつぶやく。
「・・・現金授受の目的で、開示情報を直接、総務部に運んでいるとすれば、その関係を断つために廣川弘毅を殺害したか?・・・いや、それは、ありえないな。他殺であることがばれれば、そのリスクは広告掲載費じゃ、おいつかないだろう。とすると総務部が自殺を偽装するためにUSライフに手を回したとすれば、その動機は何か?・・・自らが手を染めていない他殺を隠すためにわざわざUSライフに圧力をかける理由はなんだ?」
海野はおつまみにも生ビールにも手をださずに、考え込んでいる。土岐は海野がUSライフに籠絡されていないことを信じて、手の内を見せることにした。
「じつは大手町の高層ビルの谷間に船井ビルという雑居ビルがあって、このビルに最近まで開示情報に広告を出し続けていた広告主の事務所があって、ひとつは今話した八紘物産の第二総務部、それからビルのオーナーの船井肇の一級建築士事務所、もうひとつは長瀬啓志公認会計士事務所、最後が海野さんの同業者だった玉井要蔵の玉井企画。こいつらを取り調べれば事件の全貌が間違いなく明らかになると踏んでいます。ただ、いまのところ有無を言わせないような証拠がないので、直接、調査することをためらっています」
そう土岐が言っても海野はまだ考え込んでいる。土岐は手帳のメモを広げて、さらに続けた。
「ついでに言うと、このビルには八紘物産中興の祖と言われる馬田重史名誉相談役の事務所もあって、この馬田重史と船井肇と長瀬啓志はそれぞれ、海軍兵学校、海軍経理学校、海軍機関学校に入学しているんですが、三人とも卒業していないんです。さらに言うと、廣川弘毅も陸軍予備士官学校に入学しているんですが、こちらも卒業した形跡がありません。しかも、廣川弘毅は、入学した一年後に京都の清和家の書生となって、松村という偽名で終戦を迎えています」
海野が目を細めて、ぽつりと言った。


