「で、どんな情報が入手できたんですか?」
「・・・おまえの情報と交換で話してやろう」
そこで海野は運ばれてきた生ビールを一口飲み、付け出しに箸をつけた。箸の持ち方が作法にあっていない。
「・・・USライフとしては、廣川弘毅が自殺であれば、死亡保険金二千万円を支払わないで済む。だから見城仁美を抱き込むことは理解できないことではないが、そのやり方が少し度を超えている。まず、認知症の見城仁美の母親を費用の安い水上の山奥から、仁美の自宅に近い船橋法典の地方自治体の第3セクターが運営する特養に移転させた。このとき、鼻薬をかがせて、地元の市議会議員に斡旋を依頼した人物がいる」
「誰ですか、それ」
「・・・誰だと思う?」
海野はにやりと笑う。土岐はかぶりを振って、生ビールのジョッキを口に運んだ。
「長田賢治ですか?」
「・・・あんなフ―テンにそんな政治力はない。・・・船井肇だ。船井はいまは一級建築士事務所を構えているが、かつて衆議院議員だったときの人脈が太く残っている。船井は議員であり続けるよりも、この人脈を使って公共事業の箱物行政を食い物にして私腹を肥やすことを選んだんだ。カネはUSライフから出ているがその圧力は大株主から出ている」
「大株主って、USライフは非上場企業じゃないですか?どうして分かったんですか?」
「・・・非上場企業だが、有価証券届出書提出会社だ。一億円の社債を発行しているんで、有価証券報告書を提出する義務がある。EDINETで閲覧したら、大株主に八紘物産の名前があった。八紘物産からの圧力があって、医療介護保険を捏造し、中井愛子を被保険者とした保険契約を偽造した疑いがある。そうでなければ、安月給の仁美に月額二十万円近い特養の入所費用が支払えるはずがない。そういうリスクを冒してまで、仁美に偽証させるとなると、二千万円の死亡保険金の支払いをけちるというストーリーがやや弱くなる。カネだけの問題じゃない。保険契約書の偽造という罪を犯している。ばれれば、USライフは金融庁から何らかの行政処分を受ける。ダメージは二千万円どころではないだろう。とすれば、それ以上の何かがあるということになる。廣川弘毅を自殺とすることで生じる二千万円を超える何かが八紘物産絡みであるはずだ」
「・・・おまえの情報と交換で話してやろう」
そこで海野は運ばれてきた生ビールを一口飲み、付け出しに箸をつけた。箸の持ち方が作法にあっていない。
「・・・USライフとしては、廣川弘毅が自殺であれば、死亡保険金二千万円を支払わないで済む。だから見城仁美を抱き込むことは理解できないことではないが、そのやり方が少し度を超えている。まず、認知症の見城仁美の母親を費用の安い水上の山奥から、仁美の自宅に近い船橋法典の地方自治体の第3セクターが運営する特養に移転させた。このとき、鼻薬をかがせて、地元の市議会議員に斡旋を依頼した人物がいる」
「誰ですか、それ」
「・・・誰だと思う?」
海野はにやりと笑う。土岐はかぶりを振って、生ビールのジョッキを口に運んだ。
「長田賢治ですか?」
「・・・あんなフ―テンにそんな政治力はない。・・・船井肇だ。船井はいまは一級建築士事務所を構えているが、かつて衆議院議員だったときの人脈が太く残っている。船井は議員であり続けるよりも、この人脈を使って公共事業の箱物行政を食い物にして私腹を肥やすことを選んだんだ。カネはUSライフから出ているがその圧力は大株主から出ている」
「大株主って、USライフは非上場企業じゃないですか?どうして分かったんですか?」
「・・・非上場企業だが、有価証券届出書提出会社だ。一億円の社債を発行しているんで、有価証券報告書を提出する義務がある。EDINETで閲覧したら、大株主に八紘物産の名前があった。八紘物産からの圧力があって、医療介護保険を捏造し、中井愛子を被保険者とした保険契約を偽造した疑いがある。そうでなければ、安月給の仁美に月額二十万円近い特養の入所費用が支払えるはずがない。そういうリスクを冒してまで、仁美に偽証させるとなると、二千万円の死亡保険金の支払いをけちるというストーリーがやや弱くなる。カネだけの問題じゃない。保険契約書の偽造という罪を犯している。ばれれば、USライフは金融庁から何らかの行政処分を受ける。ダメージは二千万円どころではないだろう。とすれば、それ以上の何かがあるということになる。廣川弘毅を自殺とすることで生じる二千万円を超える何かが八紘物産絡みであるはずだ」


