土岐が本筋から、はずれ出しそうな話の方向を修正した。
「それで、三田法蔵という人についてどんな話があったんですか?」
「・・・とても優秀な人だったって、みんなそう言っていたわ。惜しい人をなくしたって。それも事故で。中には、殺されたんじゃないかって、言ってた人もいたけど・・・」
「なんで殺されたんですか?」
「・・・嫉みじゃないかって。とっても隊長さんに可愛がられたそうよ。なんでも、お坊さんの出で・・・習慣で、どうしても朝早く目が覚めてしまうんで、何もやることがないから、小僧さんのときそうしていたように、便所や教室や廊下をたった一人で毎朝掃除していたそうよ。それを隊長さんが知って、晩酌によく呼んだそうよ。・・・山海の珍味を御馳走になったようで、それを同級生が妬んで、グライダーに細工をしたんじゃないかって・・・みなさん、殺人以外には考えられない事故だっておっしゃてましたよ。でも、終戦のごたごたで、うやむやになってしまって・・・」
土岐は脇でうなずきながら母親の話に聞き入っている息子の社長に聞いた。
「それで、さっきの老人が尋ねた住所ですが、なんという名前の人でした?」
「・・・なが・・・なが・・・なが・・・」
「長瀬ですか?」
「・・・そうです、そうです、たしか、長瀬でした」
それを聞いて土岐は新橋駅に戻った。京浜東北線で蒲田駅で降りた。蒲田駅前のコンピにエンスストアで買い物をして、事務所に帰着したのは七時ごろだった。その夜は、調査日誌を書いたあと、ひさしぶりにラガービールを飲んでくつろいだ。
調査報告書(十月七日 木曜日)
翌朝、インターネットでロチェスター大学を検索し、ホームページから問い合わせメールを書き、ポータルサイトの無料翻訳ソフトで英文に直したものを送信した。若干誤訳があったので、訂正してから送信した。
@ある殺人事件の捜査で、昭和初期にロチェスター大学に留学していたヒデヒコ・セイワとマサミチ・クニの両氏について調べています。どのようなことでも結構ですので、両氏に関する情報を提供していただきたく、お願い申しあげます。警視庁茅場署警部補モトハル・ウンノ@
メールを送信してから、土岐は、明日の金曜日に佐藤加奈子に提出する調査報告書の作成を始めた。
「それで、三田法蔵という人についてどんな話があったんですか?」
「・・・とても優秀な人だったって、みんなそう言っていたわ。惜しい人をなくしたって。それも事故で。中には、殺されたんじゃないかって、言ってた人もいたけど・・・」
「なんで殺されたんですか?」
「・・・嫉みじゃないかって。とっても隊長さんに可愛がられたそうよ。なんでも、お坊さんの出で・・・習慣で、どうしても朝早く目が覚めてしまうんで、何もやることがないから、小僧さんのときそうしていたように、便所や教室や廊下をたった一人で毎朝掃除していたそうよ。それを隊長さんが知って、晩酌によく呼んだそうよ。・・・山海の珍味を御馳走になったようで、それを同級生が妬んで、グライダーに細工をしたんじゃないかって・・・みなさん、殺人以外には考えられない事故だっておっしゃてましたよ。でも、終戦のごたごたで、うやむやになってしまって・・・」
土岐は脇でうなずきながら母親の話に聞き入っている息子の社長に聞いた。
「それで、さっきの老人が尋ねた住所ですが、なんという名前の人でした?」
「・・・なが・・・なが・・・なが・・・」
「長瀬ですか?」
「・・・そうです、そうです、たしか、長瀬でした」
それを聞いて土岐は新橋駅に戻った。京浜東北線で蒲田駅で降りた。蒲田駅前のコンピにエンスストアで買い物をして、事務所に帰着したのは七時ごろだった。その夜は、調査日誌を書いたあと、ひさしぶりにラガービールを飲んでくつろいだ。
調査報告書(十月七日 木曜日)
翌朝、インターネットでロチェスター大学を検索し、ホームページから問い合わせメールを書き、ポータルサイトの無料翻訳ソフトで英文に直したものを送信した。若干誤訳があったので、訂正してから送信した。
@ある殺人事件の捜査で、昭和初期にロチェスター大学に留学していたヒデヒコ・セイワとマサミチ・クニの両氏について調べています。どのようなことでも結構ですので、両氏に関する情報を提供していただきたく、お願い申しあげます。警視庁茅場署警部補モトハル・ウンノ@
メールを送信してから、土岐は、明日の金曜日に佐藤加奈子に提出する調査報告書の作成を始めた。


