「この車だって、同じくらいの年式ですよ。二十年前や三十年前の車は全く珍しくない。日本と違って、この国では車は乗りつぶすというのが一般的で、エンジンが動く限り、故障しない限り乗り続けるという文化です。この国では車は動けばいいので、床の抜けた車や助手席のドアが開かない車だって平気で走っていますよ」
と林は興味なさそうに会話を打ち切った。土岐はとりあえず、駐車している車のナンバープレートの州と番号をメモした。脳裏に4桁の数字、3411がこびりついた。それから夜の住宅街の帳の中をどこをどう走ったのか土岐には皆目見当が付かなかった。林は住宅街のこんもりとした潅木の中にある小さなタウンハウスの前で車を止めた。店の看板もなく、普通の民家のように見えたが、数台の大型ファミリーカーが駐車していた。
「予約を取ったのですよ。二人分だけテーブルがあいていました」
とうれしそうに先に車を降りた林の後に土岐はついていった。
翌朝、ためらいがちなノックの音で目が覚めた。
「朝食ができました」
と言う林の声がした。急いで綿パンと長袖のTシャツをショルダーバックから取り出した。二階の二十平米程のゲストルームから階下の食堂に下りて行った。食堂は玄関と車庫の間にあった。十八畳程の広さで、中央に六人掛けの黒檀のダイニングテーブルがあった。天板に蓮の花弁が象嵌されていた。テーブルとバックヤードの間の目の粗いレースのカーテンの脇に月下美人の鉢があった。朝食後、林は友人の検視官のオフィスに電話をかけた。土岐は応接間で林と向かい合って座り話を聞いていた。全く理解できなかった。林は土岐がメモしたナンバープレートを読み上げた。電話をかけ終えてから会話の内容を説明してくれた。
「昨夜行った家の住民についての情報をお願いしました。分かったら市警の方からこちらに電話をくれるそうです。ナンバープレートの方は今読み上げましたが、パソコンのメールで送信してくれということなので、そこのパソコンで送信します」
と言いながらデスクトップの電源を入れた。林は老眼鏡をかけて土岐のメモを見ながらメールを打っている。土岐は話題を変えた。
「今日は、昨日の晩行った家の住民を調べようかと思うんですが」
「それなら市警からの電話を待ってから行きましょうか」
と言う間もなく林はメールを送信した。土岐は思いついたように、
と林は興味なさそうに会話を打ち切った。土岐はとりあえず、駐車している車のナンバープレートの州と番号をメモした。脳裏に4桁の数字、3411がこびりついた。それから夜の住宅街の帳の中をどこをどう走ったのか土岐には皆目見当が付かなかった。林は住宅街のこんもりとした潅木の中にある小さなタウンハウスの前で車を止めた。店の看板もなく、普通の民家のように見えたが、数台の大型ファミリーカーが駐車していた。
「予約を取ったのですよ。二人分だけテーブルがあいていました」
とうれしそうに先に車を降りた林の後に土岐はついていった。
翌朝、ためらいがちなノックの音で目が覚めた。
「朝食ができました」
と言う林の声がした。急いで綿パンと長袖のTシャツをショルダーバックから取り出した。二階の二十平米程のゲストルームから階下の食堂に下りて行った。食堂は玄関と車庫の間にあった。十八畳程の広さで、中央に六人掛けの黒檀のダイニングテーブルがあった。天板に蓮の花弁が象嵌されていた。テーブルとバックヤードの間の目の粗いレースのカーテンの脇に月下美人の鉢があった。朝食後、林は友人の検視官のオフィスに電話をかけた。土岐は応接間で林と向かい合って座り話を聞いていた。全く理解できなかった。林は土岐がメモしたナンバープレートを読み上げた。電話をかけ終えてから会話の内容を説明してくれた。
「昨夜行った家の住民についての情報をお願いしました。分かったら市警の方からこちらに電話をくれるそうです。ナンバープレートの方は今読み上げましたが、パソコンのメールで送信してくれということなので、そこのパソコンで送信します」
と言いながらデスクトップの電源を入れた。林は老眼鏡をかけて土岐のメモを見ながらメールを打っている。土岐は話題を変えた。
「今日は、昨日の晩行った家の住民を調べようかと思うんですが」
「それなら市警からの電話を待ってから行きましょうか」
と言う間もなく林はメールを送信した。土岐は思いついたように、


