奈津子たち三人を乗せたタクシーは、リバーサイド・フリーウエイを左折した。605号線を越えてからレイクウッドの市街地に南下して行った。ようやく夜の漆黒のとばりが降り始めていた。タクシーはデベロッパーが開発した高級住宅街に入って行った。住宅街のエントランスにロータリーがあった。ロータリーの真ん中は芝生で覆われたマウンドになっていた。タクシーがスピードを落とした。林も接近しすぎないように速度をゆるめた。タクシーは住宅街の奥の比較的大きな平屋建ての家の前で停車した。林の車はその20メートル手前で止まった。五六台の型式の古い大型車が道路の左側に停車していた。歩道からのアプローチが二本の樫の木の間を縫って十メートル程続いていた。奈津子たち三人がタクシーを降りた。顔が半分隠れるようなバタフライの大きな眼鏡をかけた奈津子が門灯の点いている玄関に近づく。待っていたかのように門扉が開いた。家の中にグーフィーのぬいぐるみを着た人が立っていた。助手席にいた白人は銀髪が黒髪になっていた。アジア人は目だし帽をかぶっていた。土岐と林は玄関の斜め前、二十メートル程のところに車を止めて見ていた。白人とアジア人が先に入って行った。奈津子は玄関に出てきた男と何かをやり合っている。胸のバッジを見せている。両者とも大きな身振りで何かを主張している。最後に奈津子が変装用のバタフライの眼鏡をはずした。そこでやり取りは終わり、奈津子は家の中に招じ入れられた。その家の周りには塀も壁もなく、潅木が隣家との境界になっている。玄関を右か左に回ればバックヤードに出られた。そこからリビングがのぞけるような気がした。
「裏庭に回って偵察してきます」
とドアサイドレバーに手をかけた土岐を林が制した。
「まだ空が多少明るい。プライベイトプロパティだから住居不法侵入で銃殺されても文句は言えない。真っ暗になるのを待ちましょう」
藍色の空が漆黒になる迄土岐は林の身の上話を聞かされた。夜の帳がそろそろと降りてきた。黄昏時が過ぎ、宵闇が訪れつつあった。
「裏庭に回って偵察してきます」
とドアサイドレバーに手をかけた土岐を林が制した。
「まだ空が多少明るい。プライベイトプロパティだから住居不法侵入で銃殺されても文句は言えない。真っ暗になるのを待ちましょう」
藍色の空が漆黒になる迄土岐は林の身の上話を聞かされた。夜の帳がそろそろと降りてきた。黄昏時が過ぎ、宵闇が訪れつつあった。


