南東に下るサンタアナ・フリーウエイは信号もなく、1時間足らずで奈津子の乗ったヴァンはアナハイムの直営ホテルの車寄せに横付けにされた。玄関の傍らに、
〈Hospitality Convention〉
というマリンブルーの地に白い文字の大きな横看板が掲げられていた。
奈津子は数人の乗客とともにヴァンから吐き出された。ヒスパニックのドアボーイにサムソナイトを任せた。ホテル正面の自動扉の中に消えた。林と土岐は停車したキャデラックの中で暫く様子をうかがっていた。アフリカ系アメリカ人のドアボーイが近づいてきた。
「どうしますか」
という林の間延びした問いかけに、土岐は助手席のドアを開けた。
「とりあえず、中の様子を見てきます」
「それでは私はホテルのパーキング・ロットで待っています」
と土岐がドアを閉じるのと同時に林はキャデラックを駐車場に向けて発進させた。黒人のドアボーイが二三歩走りよってキャデラックの尻に向け、悔しそうに指を鳴らした。土岐は奈津子が吸い込まれて行ったホテルの正面玄関脇の回転ドアから中に入った。ホテル受付はコンベンション関係の人々でごったがえしていた。奈津子の姿を探したが見当たらない。土岐はフロントの金髪で長身の碧眼の事務員に拙い英語で聞いてみた。
「永山奈津子の宿泊予約入ってますか?」
ホテルマンは名前をもう一度確認しパソコンに名前を入力した。
「今晩と明晩の二泊です」
とかろうじて聞き取れた。それから、聞いた。
「ホスピタリティコンベンションはどこですか?」
「エレベータホールの奥です」
と言うのも何とか聞き取れた。言われた通りにエレベータホールの奥に進むとトイレの向かい側にそれらしき観音開きの扉があった。入口に受付の折畳テーブルが置かれていた。テーブルの上には出席予定者のネームプレートがアルファベット順に並べられていた。その傍らにタイムスケジュールが書かれたアジェンダ・ボードが立てかけられていた。プレゼンテーションやコーヒーブレークの時間割の最後に、ディナー・パーティーの時刻が6時からとなっていた。土岐はホテルから出て右奥の駐車場で林のキャデラックを探した。ボディラインが旧式で、いかにも中古のガソリンを垂れ流すような車はすぐ見つかった。林はエンジンを掛けながら、エアコンで暖房をきかせてカーナビでネットワークテレビのクイズ番組を見ていた。
〈Hospitality Convention〉
というマリンブルーの地に白い文字の大きな横看板が掲げられていた。
奈津子は数人の乗客とともにヴァンから吐き出された。ヒスパニックのドアボーイにサムソナイトを任せた。ホテル正面の自動扉の中に消えた。林と土岐は停車したキャデラックの中で暫く様子をうかがっていた。アフリカ系アメリカ人のドアボーイが近づいてきた。
「どうしますか」
という林の間延びした問いかけに、土岐は助手席のドアを開けた。
「とりあえず、中の様子を見てきます」
「それでは私はホテルのパーキング・ロットで待っています」
と土岐がドアを閉じるのと同時に林はキャデラックを駐車場に向けて発進させた。黒人のドアボーイが二三歩走りよってキャデラックの尻に向け、悔しそうに指を鳴らした。土岐は奈津子が吸い込まれて行ったホテルの正面玄関脇の回転ドアから中に入った。ホテル受付はコンベンション関係の人々でごったがえしていた。奈津子の姿を探したが見当たらない。土岐はフロントの金髪で長身の碧眼の事務員に拙い英語で聞いてみた。
「永山奈津子の宿泊予約入ってますか?」
ホテルマンは名前をもう一度確認しパソコンに名前を入力した。
「今晩と明晩の二泊です」
とかろうじて聞き取れた。それから、聞いた。
「ホスピタリティコンベンションはどこですか?」
「エレベータホールの奥です」
と言うのも何とか聞き取れた。言われた通りにエレベータホールの奥に進むとトイレの向かい側にそれらしき観音開きの扉があった。入口に受付の折畳テーブルが置かれていた。テーブルの上には出席予定者のネームプレートがアルファベット順に並べられていた。その傍らにタイムスケジュールが書かれたアジェンダ・ボードが立てかけられていた。プレゼンテーションやコーヒーブレークの時間割の最後に、ディナー・パーティーの時刻が6時からとなっていた。土岐はホテルから出て右奥の駐車場で林のキャデラックを探した。ボディラインが旧式で、いかにも中古のガソリンを垂れ流すような車はすぐ見つかった。林はエンジンを掛けながら、エアコンで暖房をきかせてカーナビでネットワークテレビのクイズ番組を見ていた。


