「永山奈津子の住所を言うからカーナビにいれてくれ」
「一の四十一の三。これからの行き先をそこにセットしてくれ」
と南條が言い終えたところに見覚えのあるクリーミーローズのプリンセスワンピースの奈津子が緋色のフェルトガウンを羽織って駐車場の入口からスカイランGTに向かって歩いてきた。
「あれが永山奈津子か。しゃぶりつきたくなるような美人だな」
と南條は卑猥にうなった。奈津子のスカイランGTは加速も滑らかに猛々しい排気音とともに駐車場を出て行った。南條の軽自動車はあえぐばかりだ。加速がままならない。駐車場から離される一方だ。広大な駐車場を出る頃にはGTは見えなくなっていた。
「やっぱ軽じゃ尾行は無理ですね」
と土岐は感じたままに嘆息した。
「だから住所を入れといたんだ」
「どうせ、まかれたから急ぐ必要はない」
と南條は軽自動車をゆっくりと走らせた。エンジン音にカラカラという夾雑音が混じっていた。カーナビの指示に従って運河沿いに東京湾方面から北上して行く。埋め立て地の殺風景な道路沿いに、
〈永山整形クリニック〉
というピンク地に白抜きの看板が見えてきた。
「あの女、整形もやってんのか?二足のワラジじゃねえだろうな」
「勤め人でそれはむりでしょう。それにしてもこんな交通の便の悪いところで商売がなりたつのかな?身内がやってんですかね」
と土岐が言う程、周囲に住宅が見当たらなかった。一番近い建物は数台の中型トラックが駐車している倉庫だった。電信柱の住所表示の番地を見ると、
〈1―41―3〉
となっていた。南條はそのブロックをとろとろと一回りした。永山整形クリニックの車庫のグレーのシャッターが、かろうじて見える三十メートルばかり離れた倉庫の前に軽自動車を止めた。身を隠すような障害物が一切ない町並みだった。張り込みとばれそうな位置関係だった。
「あの車庫ずいぶん大きいな」
と南條が言う。土岐は相槌を打った。
「そうですね。シャッターの幅が2台分ぐらいありそうですね」
「2台分だ。シャッターが分かれている。同じ色だが、右のシャッターの方が少し新しい。真ん中に一本、支柱が入っているだろう」
「一の四十一の三。これからの行き先をそこにセットしてくれ」
と南條が言い終えたところに見覚えのあるクリーミーローズのプリンセスワンピースの奈津子が緋色のフェルトガウンを羽織って駐車場の入口からスカイランGTに向かって歩いてきた。
「あれが永山奈津子か。しゃぶりつきたくなるような美人だな」
と南條は卑猥にうなった。奈津子のスカイランGTは加速も滑らかに猛々しい排気音とともに駐車場を出て行った。南條の軽自動車はあえぐばかりだ。加速がままならない。駐車場から離される一方だ。広大な駐車場を出る頃にはGTは見えなくなっていた。
「やっぱ軽じゃ尾行は無理ですね」
と土岐は感じたままに嘆息した。
「だから住所を入れといたんだ」
「どうせ、まかれたから急ぐ必要はない」
と南條は軽自動車をゆっくりと走らせた。エンジン音にカラカラという夾雑音が混じっていた。カーナビの指示に従って運河沿いに東京湾方面から北上して行く。埋め立て地の殺風景な道路沿いに、
〈永山整形クリニック〉
というピンク地に白抜きの看板が見えてきた。
「あの女、整形もやってんのか?二足のワラジじゃねえだろうな」
「勤め人でそれはむりでしょう。それにしてもこんな交通の便の悪いところで商売がなりたつのかな?身内がやってんですかね」
と土岐が言う程、周囲に住宅が見当たらなかった。一番近い建物は数台の中型トラックが駐車している倉庫だった。電信柱の住所表示の番地を見ると、
〈1―41―3〉
となっていた。南條はそのブロックをとろとろと一回りした。永山整形クリニックの車庫のグレーのシャッターが、かろうじて見える三十メートルばかり離れた倉庫の前に軽自動車を止めた。身を隠すような障害物が一切ない町並みだった。張り込みとばれそうな位置関係だった。
「あの車庫ずいぶん大きいな」
と南條が言う。土岐は相槌を打った。
「そうですね。シャッターの幅が2台分ぐらいありそうですね」
「2台分だ。シャッターが分かれている。同じ色だが、右のシャッターの方が少し新しい。真ん中に一本、支柱が入っているだろう」


