「それを言うな。俺も切ないんだ。数週間で定年なもんで、まっとうな捜査をやらせてもらえない。雑用ばかりでこき使われている。部下もつけてもらえない。相棒は骨折で急きょ入院だ。いまは資料の整理やら軽犯罪の文書の作成だ。あとは刃傷沙汰のドメスティックバイオレンスとか、自転車の盗難の累犯とか、出会い喫茶の黒幕の張り込みとか、どうでもいいようなこまごました事案の担当と書類の整理。ラインからはずされて暇だろうってんで便利屋みたいに交通や生活安全のお手伝いに借りだされることもある。今こうしているのは極秘だ。俺の勝手な行動は前の署から札つきで墨田署にも知れ渡っている。万年警部補なんてのはまがい物の骨董品扱いだ。価値もありそうもないし誰も値踏みができない。どうせもう定年で先がないからお互いに深く関わらずに勝手にするのが一番」
と南條の繰り返しのぼやきが始まった頃、CDLの駐車場に到着した。駐車場の係員を探して従業員専用の駐車場を聞き出し、そのブロックに辿り着いた頃にちょうど三時になっていた。
「永山奈津子は三時退社だと言ってたな。駐車場をぐるっと一回りするからシルバーのスカイラインGTを探せ」
と南條に言われて土岐はスカイラインのエンブレムを探し求めた。半周したところで駐車場の中央あたりにシルバーメタリックのスカイラインGTが見つかった。年季の入った古い型式だった。土岐は声をあげた。すると、南條は、
「他にないか?」
と元の位置に戻った。もう一回りしてもシルバーメタリックのスカイラインGTは一台しか見当たらなかった。あとで見失わないようにとりあえず登録ナンバーの3411を記憶した。南條はその車がかろうじて見える駐車場の端に赤い軽自動車を止めた。
「陸運で確認しておこう」
と南條は携帯で墨田署の交通課を呼び出した。ナンバーを告げた。車籍照会を依頼した。土岐は登録番号の全てを覚え切れなかった。瞬時にナンバーを記憶した南條の職業技能に今更ながら感心した。
「これが私用車のつらいところ。覆面ならナビとパソコンが一体になっていて陸運のデータベースにすぐアクセスできる。車籍照会なんかあっと言う間だ。こんな面倒な手順を踏まなくてすむ。でもデカになりたての頃と比べれば格段の進歩だ」
と言っている間に南條の携帯電話がなった。南條は携帯電話で所有者の住所を聞きながら、
と南條の繰り返しのぼやきが始まった頃、CDLの駐車場に到着した。駐車場の係員を探して従業員専用の駐車場を聞き出し、そのブロックに辿り着いた頃にちょうど三時になっていた。
「永山奈津子は三時退社だと言ってたな。駐車場をぐるっと一回りするからシルバーのスカイラインGTを探せ」
と南條に言われて土岐はスカイラインのエンブレムを探し求めた。半周したところで駐車場の中央あたりにシルバーメタリックのスカイラインGTが見つかった。年季の入った古い型式だった。土岐は声をあげた。すると、南條は、
「他にないか?」
と元の位置に戻った。もう一回りしてもシルバーメタリックのスカイラインGTは一台しか見当たらなかった。あとで見失わないようにとりあえず登録ナンバーの3411を記憶した。南條はその車がかろうじて見える駐車場の端に赤い軽自動車を止めた。
「陸運で確認しておこう」
と南條は携帯で墨田署の交通課を呼び出した。ナンバーを告げた。車籍照会を依頼した。土岐は登録番号の全てを覚え切れなかった。瞬時にナンバーを記憶した南條の職業技能に今更ながら感心した。
「これが私用車のつらいところ。覆面ならナビとパソコンが一体になっていて陸運のデータベースにすぐアクセスできる。車籍照会なんかあっと言う間だ。こんな面倒な手順を踏まなくてすむ。でもデカになりたての頃と比べれば格段の進歩だ」
と言っている間に南條の携帯電話がなった。南條は携帯電話で所有者の住所を聞きながら、


