と電話を切ってから土岐は少し考えた。午前中、深野が出所すると、土岐は先週金曜日の永山奈津子のクレームを報告した。
「CDLのクレームの件ですが」
と土岐が話しかけると深野は自分の机の上に薄っぺらなカバンを投げ出して興味なさそうな顔をした。
「CDLと少女の事故死の関係は単なる仮説で、明確な因果関係がないことをしかるべき方法で公表してほしい、とのことでした」
「大げさだね。そんな情報はニュース性がないからマスコミは無視するよ。マスコミなんか気紛れだからほっとけば、世間は忘れるよ」
「じゃあ、なにもしないということですか?」
「しなければならないとう義務もないだろう」
深野の投げやりな言い方に土岐は少し憤激した。
「風評被害があったんで、対応次第では提訴するといってましたが」
「それは、逆効果じゃないの。かえって、寝てる子を起こすようなことになるんじゃないかな。先週末、友人の証券アナリストに会う機会があったんで、CDLの株価について聞いてみたんだが、低調気味ではあるが、とりたてて値下がりしてはいない、と言っていた。CDLが提訴したって、風評被害を立証できないんじゃないかな」
「そうですか。先方はかなりカリカリしてましたけどね」
「それがよくわからない。今回の情報はCDLの売り上げを増加させる方向に作用しないことは分かる。だからといって訴訟に持ち込む程のことなのか。その渉外担当の人こそクレーマーじゃないのか」
昼ごろになって、CDLの固定電話番号に掛けてみた。
「永山奈津子さんはおられますか」
「はい、私です」
と言う即答に無音で舌打ちした。土岐は送話口に紙を一枚挟んだ。
「こちら先日テレビのワイドショウで女の子の自殺とお宅のテーマパークの関係について見た者ですが、それについて是非聞いていただきたい重要な情報があるんですが、お会いできないでしょうか?」
「どんな情報でしょうか?」
「込みいっているんで、お会いしてから」
「今どちらですか?」
と奈津子の落ち着き払った問いかけがあった。
「いま、ランドのゲートの前にいます」
「すぐまいりますので、そこでお待ちいただけますか。お名前は?」「住田と言います」
「失礼ですがどんな服を着ておられますか?」
「ブルーのダウンコートを着ています」
「すぐ伺います」
という電話が切れて3分して土岐は同じ番号にかけた。
「渉外係です」
「CDLのクレームの件ですが」
と土岐が話しかけると深野は自分の机の上に薄っぺらなカバンを投げ出して興味なさそうな顔をした。
「CDLと少女の事故死の関係は単なる仮説で、明確な因果関係がないことをしかるべき方法で公表してほしい、とのことでした」
「大げさだね。そんな情報はニュース性がないからマスコミは無視するよ。マスコミなんか気紛れだからほっとけば、世間は忘れるよ」
「じゃあ、なにもしないということですか?」
「しなければならないとう義務もないだろう」
深野の投げやりな言い方に土岐は少し憤激した。
「風評被害があったんで、対応次第では提訴するといってましたが」
「それは、逆効果じゃないの。かえって、寝てる子を起こすようなことになるんじゃないかな。先週末、友人の証券アナリストに会う機会があったんで、CDLの株価について聞いてみたんだが、低調気味ではあるが、とりたてて値下がりしてはいない、と言っていた。CDLが提訴したって、風評被害を立証できないんじゃないかな」
「そうですか。先方はかなりカリカリしてましたけどね」
「それがよくわからない。今回の情報はCDLの売り上げを増加させる方向に作用しないことは分かる。だからといって訴訟に持ち込む程のことなのか。その渉外担当の人こそクレーマーじゃないのか」
昼ごろになって、CDLの固定電話番号に掛けてみた。
「永山奈津子さんはおられますか」
「はい、私です」
と言う即答に無音で舌打ちした。土岐は送話口に紙を一枚挟んだ。
「こちら先日テレビのワイドショウで女の子の自殺とお宅のテーマパークの関係について見た者ですが、それについて是非聞いていただきたい重要な情報があるんですが、お会いできないでしょうか?」
「どんな情報でしょうか?」
「込みいっているんで、お会いしてから」
「今どちらですか?」
と奈津子の落ち着き払った問いかけがあった。
「いま、ランドのゲートの前にいます」
「すぐまいりますので、そこでお待ちいただけますか。お名前は?」「住田と言います」
「失礼ですがどんな服を着ておられますか?」
「ブルーのダウンコートを着ています」
「すぐ伺います」
という電話が切れて3分して土岐は同じ番号にかけた。
「渉外係です」


