@大発見です。舞浜の運転手は火曜の町屋斎場の平野敬子の葬儀で受付をやっていました。しかも例のバッジを襟穴につけて。遺族に受付をやっていた運転手は何者か確認する必要があると思います@
さっそく、南條から返信があった。
@申し訳ない、別の重大事案が発生して、そっちに取り掛かることになった。とてもじゃないが、手が回らないんで平野敬子の家の固定電話番号を教えるから、その受付の男について聞いてみてくれ@
二月最後の月曜日の朝、土岐は統計研究所の玄関前で平野敬子の遺族宅に電話した。例の中年女が出てきた。
「はい、平野です」
という寝ぼけたような物憂げな声が返ってきた。
「先日墨田署の南條刑事と一緒に伺った土岐という者です。早朝から申しわけありません。お訊ねしたいことがあって電話しました。火曜日のお嬢さんの葬儀で受付をしていた男のことなんですが」
「町屋斎場の、ですか」
と声はまだ布団の中を夢遊しているようで、覚醒していなかった。「町会から来た人です。初めてあった人です」
「どういう人なんですか。名前は分かりませんか」
「あとの精進落としにも来なかったし。町会に聞いて貰えますか?」
とそっけない返事をして電話が一方的に切れた。土岐は統計研究所のパソコンからインターネットで電話番号を調べて、町会の会館の方に電話してみた。当番の女らしいのが出てきた。
「平野鉄工所のお嬢さんの葬儀のことでお聞きしたいんですが」
「私は何も知らないんで町会長のお宅に電話してもらえますか?」
と言うなり、事務的に電話番号を読み上げた。土岐は電話を掛け直した。老婆のしゃきっとした江戸弁の声が出てきた。
「こちら、墨田署の関係の者ですが、町会長さんはご在宅ですか?」
「はい、少々お待ち下さいよ」
ややあって、様子をうかがうような老齢の鼻声が出てきた。二日酔いのような思考のピントが合っていない声だ。
「墨田署の関係の者で土岐といいますが、先だっての平野鉄工所のお嬢さんの葬儀のことで、ちょっとお尋ねしたいことがあって」
「なんですか」
と背筋を少し伸ばしたようなトーンに声が変わった。
「斎場で受付をやってた男のことで。名前は分かるでしょうか?」「平野さんの親戚の方だと思うんで。香典詐欺ですか?」
「町会の人でないというのならいいんで。平野さんに聞いてみます」
さっそく、南條から返信があった。
@申し訳ない、別の重大事案が発生して、そっちに取り掛かることになった。とてもじゃないが、手が回らないんで平野敬子の家の固定電話番号を教えるから、その受付の男について聞いてみてくれ@
二月最後の月曜日の朝、土岐は統計研究所の玄関前で平野敬子の遺族宅に電話した。例の中年女が出てきた。
「はい、平野です」
という寝ぼけたような物憂げな声が返ってきた。
「先日墨田署の南條刑事と一緒に伺った土岐という者です。早朝から申しわけありません。お訊ねしたいことがあって電話しました。火曜日のお嬢さんの葬儀で受付をしていた男のことなんですが」
「町屋斎場の、ですか」
と声はまだ布団の中を夢遊しているようで、覚醒していなかった。「町会から来た人です。初めてあった人です」
「どういう人なんですか。名前は分かりませんか」
「あとの精進落としにも来なかったし。町会に聞いて貰えますか?」
とそっけない返事をして電話が一方的に切れた。土岐は統計研究所のパソコンからインターネットで電話番号を調べて、町会の会館の方に電話してみた。当番の女らしいのが出てきた。
「平野鉄工所のお嬢さんの葬儀のことでお聞きしたいんですが」
「私は何も知らないんで町会長のお宅に電話してもらえますか?」
と言うなり、事務的に電話番号を読み上げた。土岐は電話を掛け直した。老婆のしゃきっとした江戸弁の声が出てきた。
「こちら、墨田署の関係の者ですが、町会長さんはご在宅ですか?」
「はい、少々お待ち下さいよ」
ややあって、様子をうかがうような老齢の鼻声が出てきた。二日酔いのような思考のピントが合っていない声だ。
「墨田署の関係の者で土岐といいますが、先だっての平野鉄工所のお嬢さんの葬儀のことで、ちょっとお尋ねしたいことがあって」
「なんですか」
と背筋を少し伸ばしたようなトーンに声が変わった。
「斎場で受付をやってた男のことで。名前は分かるでしょうか?」「平野さんの親戚の方だと思うんで。香典詐欺ですか?」
「町会の人でないというのならいいんで。平野さんに聞いてみます」


