早速楔文字のサイトを開けてみた。携帯画面が小さいので少し見づらい。アルファベットとの対応表が載っていた。ペルシャ楔文字一覧のサイトを見ると串刺しのおでんや尖ったブーメランを組み合わせたような紋様の文字が並んでいた。アルファベットの小文字と大文字に対応する文字があった。かなり複雑な形になっていた。aからZ迄見てみた。南條が手帳にメモ書きした図案の記憶に一致するものはなかった。メソポタミア楔文字一覧を見てみた。こちらはペルシャ楔文字よりはかなりシンプルだ。aから順に確認して行き、jに至って思わず息を呑んだ。南條の手帳のメモ書きの記憶にぴったり一致した。上を三角形の長辺、下を三角形の鈍角の頂点にした文様が三個つながり、一番下の三角形の鈍角の頂点から真下に棒が伸びている。しかしその四つ先のnのところにも全く同じ文字があった。ただしこちらは横向きだった。南條が店に入ってきた。眉を八の字にしてなさけないような本当にすまなそうな顔をしている。タコに似ている。南條が土岐の前に腰掛けた。お絞りで無精ひげの顔をごしごしと拭き終えたところに土岐は携帯電話のWEB画面を突き出した。南條の手の動きがあごの辺りでぴたりと停止した。南條はその画面を食い入るように注視した。一瞬意味がわからないような表情をする。首を捻った。土岐が、バッジ、というキーワードを言うと南條の表情が険しく変わった。南條はジャケットのポケットから市販の手帳を取り出す。メモのページを開き、土岐の携帯携帯を受け取り、両者を見比べた。
「確かに同じだ。お前は天才か」
南條に老婆が注文を取りに来た。南條はうるさそうに、
「生ビールとおまかせ三千円」
と言い放った。注文を受けた主人の威勢のいい声が聞こえてきた。
「ちょっと説明してくれ」
と南條は黒いボールペンを取り出した。
「あのバッジの模様はペルシャ文字のnかjなんです」
「どっちなんだ」
と南條はメモを取りながら低い声で怒鳴った。
「串刺しが立っていればn、寝ていればjです」
「まてよ、バッジは丸いから、立てれば立つし、寝せれば寝るぞ」
と南條は白髪まじりの無精ひげでざらついた頬を手のひらで撫でる。
「どういうバッジなんですか?ピン止めですか?ねじ止めですか?ねじ止めだと回転するから上も下もないけどピン止めなら普通ピンを横に止めるから上下が分かるでしょう?」
「確かに同じだ。お前は天才か」
南條に老婆が注文を取りに来た。南條はうるさそうに、
「生ビールとおまかせ三千円」
と言い放った。注文を受けた主人の威勢のいい声が聞こえてきた。
「ちょっと説明してくれ」
と南條は黒いボールペンを取り出した。
「あのバッジの模様はペルシャ文字のnかjなんです」
「どっちなんだ」
と南條はメモを取りながら低い声で怒鳴った。
「串刺しが立っていればn、寝ていればjです」
「まてよ、バッジは丸いから、立てれば立つし、寝せれば寝るぞ」
と南條は白髪まじりの無精ひげでざらついた頬を手のひらで撫でる。
「どういうバッジなんですか?ピン止めですか?ねじ止めですか?ねじ止めだと回転するから上も下もないけどピン止めなら普通ピンを横に止めるから上下が分かるでしょう?」


