「それでは、私に結果が出次第、ご連絡をいただけるでしょうか」
「わかりました。連絡先は今日の電話番号でよろしいんですね」
「いいえ、私の携帯電話に直接ご連絡をいただけます?」
土岐は携帯電話をダッフルコートのポケットから出した。番号登録の画面にして奈津子の赤いルージュを引いた艶やかな口元を見た。
「間違えるといけないので私が」
と奈津子は白い手を差し出した。携帯電話を受取ると画面が消えた。
「電池切れかしら」
と裏蓋を開けて水色の電池パックを取り出した。土岐が自分で確認しようとすると奈津子はそれを制した。
「私のと交換します。買ったばかりだからたっぷり充電されてます」と奈津子は大きな緑色のオーストリッチのボックスバッグから黄色い電池パックを取り出した。ボックスバッグは異様に膨らんでいた。
「あら、偶然かしら、機種が同じだわ」
「すいません。機種変更してそんなに経っていないし、けさ充電してきたばかりなので、電池に問題はないと思うんですが」
と土岐が手を出して取り戻そうとしたが、奈津子はそれを無視し、土岐の携帯電話の電池パックを交換し元に戻して再び画面を開いた。
「ついたわ。それでは永山奈津子で登録しますので、お忘れなく。先程駅からお掛けになった電話番号は事務所の固定電話なので、連絡を下さるときは私の携帯電話の方に掛けて下さい」
と奈津子は白漆を塗ったような歯を見せて微笑む。
隣の席の運転手は、ひっきりなしに煙草を吸っていた。チェーンスモカーだ。吸っている煙草が短くなると揉み消しざまに次の一本を取り出した。右手でライターに火をつけて絶え間なく吸い続けていた。二人の会話を聞いているようでもなく、天井を見上げながら、吐き出した煙の行方に目線を泳がせていた。
土岐は登録されたばかりの奈津子の電話番号を確認した。ためしに掛けてみた。すると聞いたことのない奇妙なメロディーが流れた。奈津子が自分のピンクの携帯電話を掲げる。表示された電話番号を土岐に示した。土岐はそれを確認すると、携帯電話を切った。
奈津子は薄ピンクのマニキュアの指先でレシートをつまむようにして取ると、土岐に顔を近づけるようにして立ち上がった。
「わかりました。連絡先は今日の電話番号でよろしいんですね」
「いいえ、私の携帯電話に直接ご連絡をいただけます?」
土岐は携帯電話をダッフルコートのポケットから出した。番号登録の画面にして奈津子の赤いルージュを引いた艶やかな口元を見た。
「間違えるといけないので私が」
と奈津子は白い手を差し出した。携帯電話を受取ると画面が消えた。
「電池切れかしら」
と裏蓋を開けて水色の電池パックを取り出した。土岐が自分で確認しようとすると奈津子はそれを制した。
「私のと交換します。買ったばかりだからたっぷり充電されてます」と奈津子は大きな緑色のオーストリッチのボックスバッグから黄色い電池パックを取り出した。ボックスバッグは異様に膨らんでいた。
「あら、偶然かしら、機種が同じだわ」
「すいません。機種変更してそんなに経っていないし、けさ充電してきたばかりなので、電池に問題はないと思うんですが」
と土岐が手を出して取り戻そうとしたが、奈津子はそれを無視し、土岐の携帯電話の電池パックを交換し元に戻して再び画面を開いた。
「ついたわ。それでは永山奈津子で登録しますので、お忘れなく。先程駅からお掛けになった電話番号は事務所の固定電話なので、連絡を下さるときは私の携帯電話の方に掛けて下さい」
と奈津子は白漆を塗ったような歯を見せて微笑む。
隣の席の運転手は、ひっきりなしに煙草を吸っていた。チェーンスモカーだ。吸っている煙草が短くなると揉み消しざまに次の一本を取り出した。右手でライターに火をつけて絶え間なく吸い続けていた。二人の会話を聞いているようでもなく、天井を見上げながら、吐き出した煙の行方に目線を泳がせていた。
土岐は登録されたばかりの奈津子の電話番号を確認した。ためしに掛けてみた。すると聞いたことのない奇妙なメロディーが流れた。奈津子が自分のピンクの携帯電話を掲げる。表示された電話番号を土岐に示した。土岐はそれを確認すると、携帯電話を切った。
奈津子は薄ピンクのマニキュアの指先でレシートをつまむようにして取ると、土岐に顔を近づけるようにして立ち上がった。


