「CDLから電話があったのは昨日の昼。あなた食事で席をはずしてたけど私が電話を受けて所長に回したの。相手の言ってることは分からなかったけど所長は全面的な責任はあなたにあるような言い方をして。雑誌やテレビじゃ、さも自分が書いたかのように言ってたのに。だから風評被害の犯人はあなたということになってるのよ」
「ひでえ!」
と土岐は初めて深野に対する怒りを覚えた。
「その上、あなたの名前や住所や略歴迄教えていたわ。聞かれたんだろうけどプライバシーの侵害よね。いくらアルバイトだからって、身内を守ろうという姿勢がまるで見られなかった。身内と思っていないのかもね。クレームは全部あなたに負わせようという魂胆なのよ。ミスは全部ノンキャリに押し付ける。キャリアのよくやる手よ」
食後、二人は寒風に裂かれるようにレストランの前で別れ、土岐はその足で舞浜に向かった。冬空は突き抜けるような青空だった。土岐の気分は薄ら寒く、どんよりと曇っていた。舞浜駅を出ると教えられた通りに携帯電話からメモ用紙の固定電話番号にかけた。
「警察統計研究所の土岐ですが。永山さんはおられるでしょうか?」
「はい、永山ですが」
「舞浜駅を出たところで。これからどちらへ向かえばいいんで?」
「そこでお待ち下さい。車で迎えにまいります」
という返事がやわらかな声で返ってきた。駅前で待っていると十分足らずでなにわナンバーの骨董の部類に属するBMWが目の前に止まった。運転手は中年の四角い顔の男だった。土岐はその顔をどこかで見たような気がした。後部座席から出てきたのはスノーホワイトのような女だった。日本人離れした白い肌と彫りの深い顔立ちをしていた。着ているものも白雪姫のカナリア・イエローのプリンセスワンピースをベルベット地で地味に仕立て直したようなものだった。ボレロの肩のあたりに金のスパンコールがあしらわれていた。
「土岐さんですか。私、渉外担当の永山奈津子と申します」
と言いながら後部座席のドアを開け土岐を招じ入れた。少し酸味のあるような淡く甘い香りが車内に充満していた。車はCDLには向かわずに駅の近くのファミレスの駐車場に止められた。
「お茶でも飲みながらお話をうかがわせて下さい」
「ひでえ!」
と土岐は初めて深野に対する怒りを覚えた。
「その上、あなたの名前や住所や略歴迄教えていたわ。聞かれたんだろうけどプライバシーの侵害よね。いくらアルバイトだからって、身内を守ろうという姿勢がまるで見られなかった。身内と思っていないのかもね。クレームは全部あなたに負わせようという魂胆なのよ。ミスは全部ノンキャリに押し付ける。キャリアのよくやる手よ」
食後、二人は寒風に裂かれるようにレストランの前で別れ、土岐はその足で舞浜に向かった。冬空は突き抜けるような青空だった。土岐の気分は薄ら寒く、どんよりと曇っていた。舞浜駅を出ると教えられた通りに携帯電話からメモ用紙の固定電話番号にかけた。
「警察統計研究所の土岐ですが。永山さんはおられるでしょうか?」
「はい、永山ですが」
「舞浜駅を出たところで。これからどちらへ向かえばいいんで?」
「そこでお待ち下さい。車で迎えにまいります」
という返事がやわらかな声で返ってきた。駅前で待っていると十分足らずでなにわナンバーの骨董の部類に属するBMWが目の前に止まった。運転手は中年の四角い顔の男だった。土岐はその顔をどこかで見たような気がした。後部座席から出てきたのはスノーホワイトのような女だった。日本人離れした白い肌と彫りの深い顔立ちをしていた。着ているものも白雪姫のカナリア・イエローのプリンセスワンピースをベルベット地で地味に仕立て直したようなものだった。ボレロの肩のあたりに金のスパンコールがあしらわれていた。
「土岐さんですか。私、渉外担当の永山奈津子と申します」
と言いながら後部座席のドアを開け土岐を招じ入れた。少し酸味のあるような淡く甘い香りが車内に充満していた。車はCDLには向かわずに駅の近くのファミレスの駐車場に止められた。
「お茶でも飲みながらお話をうかがわせて下さい」


