祭りのあと

もいる。その身内で一般の男と結婚している娘もいる。全てが尊広の口を通じて明らかになれば今はひっそりと幸せに暮らしている連中も事情聴取の対象になって知られないで済むことを知られることになる。犯罪は犯罪だが全ての犯罪を刑法通りに一律に摘発して欲しくはない。だから全てを知っている尊広を始末した。俺もかりに病身のまま尋問を受けたとしても何もしゃべるつもりもない。全ては俺と尊広と奈津子で背負って消えて行く。浪江も多少のことは知っているはずだがあの女は絶対に口を割らない。自分にとって少しでも不利になるようなことは金輪際やらない女だ。妙なもんだが、その点は俺はあの女を信用している。俺の血にまつわるこの隠微な話は俺と奈津子と尊広が墓場に持って行く」
「孫の信夫も」
と土岐が辛うじて聞き取れるかすれ声で言った。言ってみて喉がからからであることに気づいた。目の前の湯飲みに手を伸ばした。その声が聞こえなかったのか中田は無視して、
「尊広の死が報道されたんで奴と関係のあったやくざはあれから証拠の隠滅に奔走しているはずだ」
といい終えて外の庭迄聞こえるような溜息をついた。
「尊広も隆にそうとういじめられたらしい。赤ん坊の頃から殴られていた。体中に煙草の火を押し付けられた火傷の跡があった。小学生の頃には友達に刺青のできそこないだと言って自慢していた。それを見ていじましく思ったもんだ。会う度に小遣いを与えてまともに成長するようにと願ったが俺と浪江の血を引いていたのであればそれは叶わない願いでもあった。と言うか尊広は隆の実子でないことを薄々知るようになって隆と浪江と俺に対する復讐のつもりで、とてつもないワルになって行ったのかも知れない」
 南條は座布団をはずしかけて、
「最後にひとつ」
と人差し指を立てた。
「どうして車のナンバープレートが3411なんで?」
 中田老人は天井を隅から隅迄見渡すようにして、