「そうだ。隆が肝臓癌で死んで尊広の代になってから保険金殺人にも手を広げてきた。保険金殺人は児童ポルノと違って頻繁にはできないが一件あたりの実入りが大きい。やくざとのつながりもできて小金も入るようになった。高志が去年の春、心筋梗塞で倒れ、病院に入院して1週間後に死んだとき尊広が『関東のやくざとの取引を広げざるを得なくなるので代紋のような物を作りたい』と言ってきた。『やくざじゃないから代紋なんか要らないだろう』と言ったが『やくざと付き合う上で代紋がないと格好がつかない』と言うので奈津子にデザインを考えさせた。中と田をくっつけて田の一番上の棒と中の一番上の棒を大きくすると三角形が二つくっついたような形になった。縦の棒はドラキュラ伯爵の串刺しを連想させるから取ることにした。一番上の縦棒だけ短く残した。下の三角形には横棒が1本残った。逆さから見ようによっちゃ逆三角形が三つ重なっているように見えるかも知れない。代紋を金泥で塗って焼いたが素人であまりできがよくなかったから尚更そう見えたのかも知れない。奈津子はこの家に来てそこの庭の小さな窯で焼いていた。失敗作ばかりで、まともにできたものは少なかった。この家に来て年中色んなものを焼いていたから、その中にあんたの言うような逆三角形が三つ重なったようなものがあったのかも知れない」
と言いながら老人は庭を眺める。
「逆三角形三つはジェイソン・ノイマンが使っていた会員バッジだが」
と南條は中田老人におうかがいを立てるようにして情報を提供した。
「そんなのがアメリカで使われていたのか。知らなかった。俺はてっきり奈津子の失敗作だとばかり思っていたが、それじゃ、ついでにそれも焼いていたのかな。それともアメリカ留学中にノイマンのエンブレムを見て中田の代紋はそれを真似たのかも知れないな。奈津子は小さい頃、信子の亭主にいたずらされたようで、それがトラウマになっていた。休みになるとこの家によくやってきて夕飯を食べて帰って行った。泊まることもあった。奈津子自身も幼児の頃に写真を随分撮られたようだ。永山高志も自分の子供でないから、それができたのかも知れない。あるいは信子の不倫に対する復讐であったのかも知れない」
「信子は、なんで、奈津子をかばわなかったのか?」
と言いながら老人は庭を眺める。
「逆三角形三つはジェイソン・ノイマンが使っていた会員バッジだが」
と南條は中田老人におうかがいを立てるようにして情報を提供した。
「そんなのがアメリカで使われていたのか。知らなかった。俺はてっきり奈津子の失敗作だとばかり思っていたが、それじゃ、ついでにそれも焼いていたのかな。それともアメリカ留学中にノイマンのエンブレムを見て中田の代紋はそれを真似たのかも知れないな。奈津子は小さい頃、信子の亭主にいたずらされたようで、それがトラウマになっていた。休みになるとこの家によくやってきて夕飯を食べて帰って行った。泊まることもあった。奈津子自身も幼児の頃に写真を随分撮られたようだ。永山高志も自分の子供でないから、それができたのかも知れない。あるいは信子の不倫に対する復讐であったのかも知れない」
「信子は、なんで、奈津子をかばわなかったのか?」


