五五年以来ドリムランドで蓄積してきた幼女誘拐のノウハウが使えるとふんだ。そこでノイマンはそのノウハウの無償提供と継続的な取引を長田隆ににおわせた。条件はアメリカの児童ポルノとの物々交換と住居表示が3411であること。それだけだった。住居表示の3411の意味が良く分からなかったが裏切りと逃走を防止するのが目的と知ったのは随分あとのことだった。確かに貴金属ならともかく不動産を背負って逃亡することはできない。一種の踏み絵でもあった。高いハードルだ。田舎の方に行けば3411という住居表示がないことはなかったが山の中だったり田んぼの中だったりした。そんな都合のいい物件が都会にある訳がない。かりにあったとしても信子の亭主にも浪江の亭主にも金がない。そこでとりあえず信子の亭主は本籍だけを日暮里の同じ町内の三丁目四十一番1号に変えた。別にそこに住んでいる必要はない。そのコピーをノイマンに郵送した。それから英語のからっきしできない浪江の亭主ではなく医師免許も持つ信子の亭主が窓口になって取引が始まった。現住所と本籍の違いなんぞ、アメリカ人には分かるまいということだったが取引が始まってノイマンの手紙が本籍地に届き郵便局の機転で開封されることなく信子の亭主の手元に届いた。郵便局も国際郵便の場合は国外に返送するのも面倒なので多少住所表記に誤りがあっても何とか宛名の人間に届ける努力をしていた。ノイマンの手紙には『虚偽のあった場合は抹殺する』とあって俺はただの脅しだと思ったが信子の亭主は慌てた。そこで俺の所に相談にやって来た。こっちは信子と奈津子を押し付けた借りがあるので何とかしてやりたいと思った。しかし俺も日常的には細々と鞄作りをしているしがない職人だ。そんな都合のいい土地を買ってやろうとしたってカネがない。資金の目処のつかないままオッズも予想も何も見ずに3411を適当に組み合わせて幾度か馬券を買った。中央競馬の第11レース馬番3番4番の馬券を浅草の場外馬券売り場でなんとなく買ってみた。そんな買い方をする人間は少ないから万馬券になった。後にも先にも万馬券はその時だけだ。賞金を頭金にして土地を探した。地図で七福神を結ぶと、そのど真ん中にこの土地があった。俺はこの土地を気に入ったが一丁目一番三十四号だ。ノイマンが条件付けている3411にはならない。そのとき永山高志が『英語表記では逆になって34の1


