「まだ骨になっていないですよ。あした火葬場に行ってもいいですか」と未練ありげに言って南條の顔を見た。
「俺は行くつもりはないが、行くんだったら舞浜署に場所と時間を聞いといてやろう」
と言問通りに出て南條はまたタクシーを拾った。
「もうあそこに帰ってるだろう。行き違いだった。自首を促すか。しかし自首したところで死刑は確定だし大体裁判の結審迄もつかどうか。舞浜署か墨田署の若い連中に逮捕させてやるか。俺はもう定年だし、ここで得点を稼いでも何の意味もない。署長賞は間違いないだろうが」
といつになく南條はしんみりした話し振りだった。
タクシーが言問橋方面に動き始めて土岐は南條に聞いた。
「さっきのお布施の金額ですが、なんで百十三万四千円なんですか?」
「七福神の七不思議だ」そう言われて土岐は賽銭の金額を思い出した。
「一丁目一番三十四号だ。あの家は七福神のど真ん中にある」
「一丁目一番三十四に住んでるからお布施も百十三万四千円?」
戻るタクシーの中で南條が携帯電話でメールを打ち始めた。タクシーが揺れるせいか、不器用なせいか南條は思うように打ち込めない。漢字への変換を幾度も失敗したり、親指での文字入力を頻繁に間違ったりした。土岐は誰に何をメールしているのか気になったが、あからさまに画面をのぞき込むことはやめた。
20 老残愚連隊
十五分で黒塀の屋敷に着いた。南條は気だるそうにインターフォンを押した。
「先程うかがった墨田署の南條です」
「どうぞ」
「俺は行くつもりはないが、行くんだったら舞浜署に場所と時間を聞いといてやろう」
と言問通りに出て南條はまたタクシーを拾った。
「もうあそこに帰ってるだろう。行き違いだった。自首を促すか。しかし自首したところで死刑は確定だし大体裁判の結審迄もつかどうか。舞浜署か墨田署の若い連中に逮捕させてやるか。俺はもう定年だし、ここで得点を稼いでも何の意味もない。署長賞は間違いないだろうが」
といつになく南條はしんみりした話し振りだった。
タクシーが言問橋方面に動き始めて土岐は南條に聞いた。
「さっきのお布施の金額ですが、なんで百十三万四千円なんですか?」
「七福神の七不思議だ」そう言われて土岐は賽銭の金額を思い出した。
「一丁目一番三十四号だ。あの家は七福神のど真ん中にある」
「一丁目一番三十四に住んでるからお布施も百十三万四千円?」
戻るタクシーの中で南條が携帯電話でメールを打ち始めた。タクシーが揺れるせいか、不器用なせいか南條は思うように打ち込めない。漢字への変換を幾度も失敗したり、親指での文字入力を頻繁に間違ったりした。土岐は誰に何をメールしているのか気になったが、あからさまに画面をのぞき込むことはやめた。
20 老残愚連隊
十五分で黒塀の屋敷に着いた。南條は気だるそうにインターフォンを押した。
「先程うかがった墨田署の南條です」
「どうぞ」


