「申し訳ないが奈津子が扼殺された日の東名高速の上りのNシステムで規子が通っていないか、チェックしてもらえないかな」
「車種と登録ナンバーは分かってるんですか?」
「それが分からない。レンタカーだとは思うんだが」
「顔写真で照合するしかないですね。顔写真だと見落とす可能性が大ですが、やってみましょう。顔写真はどこで入手すればいいですか?」「大阪府警の小関さんから添付ファイルで入手してくれ」
「レンタカー登録ナンバーの〈わ〉と〈れ〉で検索してみます」
「東京に一番近いNシステムで時間は午前一時から午前七時頃迄で」
「帽子をかぶって眼鏡を掛けてマスクでもしてたらお手上げなので」
「先に予防線を張るな」
と携帯電話を切ったものの南條の顔色はさえない。南條は思い直して大阪府警の小関に電話をかけた。
「南條です。お手数で申しわけないんですが奈津子が殺害された前日の夜、規子がレンタカーを借りてないかどうか調べてもらえますか?」
「免許証提示で、偽名は使えないから1時間程度で分かるでっしゃろ」
「それから墨田署の斉藤という者が長田規子の顔写真をお願いする電話を掛けてくると思うんで、そっちのほうも、よろしくお願いします」と携帯電話を耳に押し当てて幾度も米つきバッタのように頭を下げているところにタンメンが運ばれてきた。不ぞろいにカットされた野菜が麺の上にばら撒かれていた。鮮度の悪そうなしなびた野菜でスーパーの野菜ゴミを煮込んだような印象だ。南條がさきにスープを飲んだ。
時折、都電の発着する音が響く。南條はまずそうに顔を顰めながら食べ続けた。スープを全て飲み込んだ。ぽっこり突き出た下腹を手のひらで叩いて店を出た。都電の線路端にはさわやかな春の兆しが漂っていた。尾竹橋方面に続く商店街に人通りは殆どなく、駅前のパチンコ店にも客の自転車が十数台あるだけだった。片側一車線の道路を行きかう自動車も商用車ばかり。惰性で走っているような感じで、どこか覇気が感じられなかった。二人は尾竹橋通りを路地へ右折して、軽自動車を駐車させた町屋の火葬場に向かった。
「何千、何万という遺族や関係者がこの道を歩いたはずだ。そういう人達の悲痛な足取りでこの道路は踏み締められている。足の裏の方からやるせない情念が湧き上がってくる」
「そうですか。僕にはただの道路に見えますが」
「車種と登録ナンバーは分かってるんですか?」
「それが分からない。レンタカーだとは思うんだが」
「顔写真で照合するしかないですね。顔写真だと見落とす可能性が大ですが、やってみましょう。顔写真はどこで入手すればいいですか?」「大阪府警の小関さんから添付ファイルで入手してくれ」
「レンタカー登録ナンバーの〈わ〉と〈れ〉で検索してみます」
「東京に一番近いNシステムで時間は午前一時から午前七時頃迄で」
「帽子をかぶって眼鏡を掛けてマスクでもしてたらお手上げなので」
「先に予防線を張るな」
と携帯電話を切ったものの南條の顔色はさえない。南條は思い直して大阪府警の小関に電話をかけた。
「南條です。お手数で申しわけないんですが奈津子が殺害された前日の夜、規子がレンタカーを借りてないかどうか調べてもらえますか?」
「免許証提示で、偽名は使えないから1時間程度で分かるでっしゃろ」
「それから墨田署の斉藤という者が長田規子の顔写真をお願いする電話を掛けてくると思うんで、そっちのほうも、よろしくお願いします」と携帯電話を耳に押し当てて幾度も米つきバッタのように頭を下げているところにタンメンが運ばれてきた。不ぞろいにカットされた野菜が麺の上にばら撒かれていた。鮮度の悪そうなしなびた野菜でスーパーの野菜ゴミを煮込んだような印象だ。南條がさきにスープを飲んだ。
時折、都電の発着する音が響く。南條はまずそうに顔を顰めながら食べ続けた。スープを全て飲み込んだ。ぽっこり突き出た下腹を手のひらで叩いて店を出た。都電の線路端にはさわやかな春の兆しが漂っていた。尾竹橋方面に続く商店街に人通りは殆どなく、駅前のパチンコ店にも客の自転車が十数台あるだけだった。片側一車線の道路を行きかう自動車も商用車ばかり。惰性で走っているような感じで、どこか覇気が感じられなかった。二人は尾竹橋通りを路地へ右折して、軽自動車を駐車させた町屋の火葬場に向かった。
「何千、何万という遺族や関係者がこの道を歩いたはずだ。そういう人達の悲痛な足取りでこの道路は踏み締められている。足の裏の方からやるせない情念が湧き上がってくる」
「そうですか。僕にはただの道路に見えますが」


