祭りのあと

19 死相老人中田

 町屋迄1時間足らずを要した。土岐と南條は火葬場の駐車場に軽自動車を停め、町屋の都電の駅の近くの中華料理店で昼食をとることにした。店は四人掛けのテーブルが四つあるだけで客は二人だけだった。南條が六百円のタンメンを注文すると土岐もそれにのった。注文したあと南條はiモードで検索を始めた。土岐はその画面に興味があったが我慢した。南條のiモード検索は二三分で終わった。
「タンメンはスープの味が一番良く分かる」
と南條は駅前で受取ったサラ金のポケットティッシュから広告紙を取り出しメモを書き始めた。
「奈津子が扼殺されたのは一昨日の午前一時から午前六時ごろの間だ。浪江と尊広の二人が殺害したとすれば浪江にはアリバイがないから時間的には問題がない。しかし浪江には動機がない。動機があるとすれば規子だが前の日の午後九時にWSJの仕事を終えて新大阪発の東京行きの最終の新幹線に乗車するのは無理だ。今調べたら新大阪発は九時二十分だ。夜行バスという手があるがこれも今調べたが東京着が午前七時すぎだ。それから舞浜にタクシーを飛ばすとしても8時近くになる。ついてすぐ殺害という訳にはいかないから殺害可能時刻は8時過ぎ。しかし検死の死亡推定時刻は午前一時から六時の間だ。直腸温度による推定は外気温度で誤差が出てくるので一二時間は誤差の範囲内ではあるが」
と南條は店の壁に貼られているメニューに目をやった。
「規子はその日も昼から遅番の仕事をしているんですよね。奈津子を殺してとんぼ返りで昼からWSJの仕事に就く。できないこともないけど僕が起きたのが午前九時過ぎだから随分と危ない橋を渡ってることになる。僕の部屋は外から鍵が掛けられるけどその日は掛かっていなかったし。夜行バスでなくて車だったらどうでしょう」
「車なら大阪東京間は飛ばせば五六時間か。夜9時に仕事を終えて、その足で車で名神、東名を乗り継げば午前三時か四時には東京に着く。多少ゆとりをもってみても午前五時には永山整形クリニックに着く。それなら犯行に一時間掛けても午前六時過ぎには東京を出発できるか。しかし車はBMWしかないし、そのBMWは長田尊広が東京へ乗っていっているから。レンタカーか。そうかNシステムでチェックするか」そう言うと南條は墨田署の斉藤に携帯電話を掛けた。